デザイナーが嫌がる痛い客のありがちな行動・クレームの対処法
記事の内容を見るとウェブデザイナーを対称にしている感じ。デザインというのは、企画段階でその姿カタチが、見えにくいものであり、それゆえに、客はものすごい要求をしてくる。こちらがプロだという意識が過剰になり、何でも出来ると思われていることが間違いではあるが、皆様もこんな問題は無いだろうか。
ウェブデザイナーには様々なクレームが付きまとうものですが、ちょっとした事で解決できることが多いので一応記事に。
ただ、私は確かに制作はするも、ほとんど下請けにだしたりするので、ウェブプランナーとしての意見となることを先に言っておきます。
クレーム解決マニュアル
◆要求が抽象的
ウェブ製作に関して言えば、初めて何かを作ろうと思うお客の言葉というのは、私たちウェブ屋からしてみたら、まったく意味不明なのは当然で、当たり前と思ったほうが気が楽です。なんか、グレーな感じ、明るい感じ・・・などなど・・・。意味不明の要求仕様を突きつけられるも、当然のごとく意味不明なので、それだけでは判りませんと、反論。挙句の果てに『プロだろ?なんで判らないんだ!』と、ものすごい偏見たるプロの妄想を我々に突きつけてくるという恐ろしい事態に。
逆にこちらが言っている事が相手にも伝わらないという事にもなります。
お客が望むもの、それはすなわち、目立ちたい、作るからには豪華、人がいっぱい来るサイト、売り上げが上がるサイト、という単純なものです。
プロであるプライドよりも、わからないことをわからないと伝え、いかにして相手から様々なデザイン要求を聞き出すかをひとつのスキルととらえたほうが良いことが多いです。
◆サイトアクセスが少ないから、ありえないバナーを作らせる。
ここはプロであるならば、プロらしく説明しきることが大切かなと思います。とりあえず要求どおりにつくるも、客寄せになるポイントとなるものが一切無く、案の定アクセスが伸びず、それでまず客の行動は『目立つようにして!』
しかもありえないほどのバナーサイズを要求。せっかくデザインしたレイアウトが崩壊寸前。まあそれで客が納得すればいいんですが・・・。
事実、バナー画像よりも、テキストリンクのほうがクリック効果が高いのはウェブ屋が持つ知識なんですから、しっかりと説明し、相手にバナー画像のデメリットを伝えてあげることが、お客のためでもあります。
また、アクセス数が少ないというのはページ数が少ないから、とか、ある程度のアクセスを流通させるだけの事をしていないことになります。
私はページ数が少ない場合、そのデメリットを確実に伝え、それでもいいというのであれば作ります。当然、その後のクレームも、最初にお伝えしたとおりと言うためでもあり、お客に無駄な制作費を出させないためでもあります。
◆打ち合わせた事をすぐ忘れる。
10年もウェブ制作していれば、これは常識でもあります。そんなことは行った覚えはない。といわれる。
そういう時はメモを取ればいいのですが、メモとっても、狂気と化した客の前では決定的な証拠にはならず、じゃあボイスレコーダーでも用意してやろうか?といいたくなるほどである。
お客は打ち合わせをほぼ確実に覚えていません。
そこで、私は写しが可能な複写紙を打ち合わせに持ち込んでいます。
打ち合わせたことは文章として残し、お客様にも私、写しを自分でも持ちます。
ウェブの制作は、かなり高い確率で相手の要望がそのときそのとき変化するため、作業が倍以上になり、コスト的にクレームを食らうと、赤字になったりすることがあります。
仕様については確実に3色ボールペンを持ち、お互い言った言わないにならぬよう、紙として残すのが吉です。
◆提供素材がほとんど小さ過ぎる
こんなのはお客はわからない。10ピクセル×10ピクセルの画像でどうやってトップ用の画像にするのか、一度客は、想像するだけでもお願いしたいのだが、出来上がってから、『なんでこんなに画質が悪いの?』とクレーム。
(お前の素材が悪いんじゃ!!といいたくなる
だからこそ、必ず小さい画像はそれ以上にならない事をはじめに説明し、書面として渡してくる。こんなのはクレームではなく、自分のミスと言える。
◆提供素材がほとんど著作権的にまずい
これは良くある。本当に良くあることです。どこかで見覚えのあるキャラクターに、明らかな無断転載写真。これを平然と載せようと思う客の魂胆がわからない。挙句の果てに、このサイトから拾えばいいじゃんとか言い出す始末。
某、遊園地と同じレベルだなこりゃ。
私が最初に渡す書面の画像について、という項目には、上のものとこの項目の問題を避ける規約を最初に判を頂き、解決します。
・他サイトにある画像を使用することは著作権法に反します。ご利用に当たっては、そのすべての責任を御社で請け負っていただくことになります。万が一不安なことがあれば、ご相談ください。
これくらいはっきりといっておいたほうが、相手も納得しますし、あなたの信頼度も必ずアップします。この人はちゃんとわかってるんだなと思ってもらうことが大切だと思います。
◆提供素材が全部パンフレット
これはほんとつらい。ほんとにつらい作業です。PC初心者なのはわかるが、せめてデータで欲しいものである。写真などは全部スキャニング・・・。それだけでも費用が欲しいものである。
手間と時間が確実にかかります。
私はスキャニング代だけは別途もらうようにして解決しています。
価格はA4一枚1000円です。
◆膨大な原稿が全部パンフレット
ウェブの文章はほぼすべて私が作ります。10000文字以上あるであろうテキスト原稿すべて手打ちしなくてはいけない罠。この作業量も欲しいものであるが、客にはわからんのだろうな。
パンフレットの文章で、売れるホームページを作れたためしがありません。
ですからこうした問題はまた別問題。
◆サイト公開後に修正依頼
これも最初の書面でルールを作らない方が悪いといわざるをえません。あれだけ、公開前に『もう修正はありません』と豪語したにもかかわらず、ダラダラと修正依頼。もう公開したんだから通常修正はできないという暗黙のルールも、自ら破るというプライドを捨てる仕事を日々こなす。
制作には時間がかかり、時間がかかるということは、それすなわち労務費が発生します。
私は公開から1週間はいくらでも修正します。
ですから、お客様も、必ず1週間ですべてを必死になって確認してもらいます。
誤字脱字は、こちらの落ち度ですから、いつでも修正しますが、それ以外は修正にいくら必要なのか、新規ページにいくら必要なのかというのを明確にお伝えし、紙として渡すようにしています。
でなければ、ウェブ屋はいつまでたっても赤字になってしまいますよ。
◆文字変えるだけでしょ?
いわんとしている事はわかりますが、これは多分永遠のテーマ。受け止めるしかありません。文字が変われば、文字数変わるって事なので、レイアウトが大幅に・・・略
◆ぜんぜん人こないじゃん?
ごく普通の意見です。デザインさえよければ人が来ると思う客。痛い。
作るホームページは動きがあり、派手で目立つ、そんなものを理想とします。
私はデザイン云々ではなく、いかにお客に利益があるのかをテーマに仕事を請け負います。
ここがデザイナーさんと違うところかもしれませんが、デザインが悪かろうと、ようはお客に利益さえあげればいいのです。
お客は他のサイトをみて、デザインをとにかく一番に考えるものです。
これはごく一般的なこと。
でも、お客の要望デザインを追求した結果、サイト内滞在時間、売り上げ、アクセス数などに悪影響があるようであれば、デザインがどうのというお客さまの要望も、きっちり断ります。
それこそがプロの仕事だと思いますので、きちんとそれを伝えなければならないのです。
それで相手が納得されなければ、私は仕事を請けません。
お客のためにもなりませんし、まして人が来ないサイトを作るのは、自分の為にもなりません。
◆要求どおりに作るも、なんかヘンだね。
変な要求は呑まない。変になるとわかるものを作らないから信頼を得られると私は思います。いいたい放題のヘンな要求を呑むも、具現化すればそのヘンな要求があからさまに見えてくる。そこで『なんかヘンだね』。いやいや、それは打ち合わせのときにヘンになりますよってあらかじめ言ったじゃないですかと、言っても、それは聞いてないと・・・。もはや客というのは、死ぬしかないRPGのイベントボスキャラみたいなもんで、怒りが収まるのをじっと耐え続けるしかないのか。
◆まる投げ
これも良くありますね。会社や、企画のパンフレット渡されて、「はいこれで」。
・・・一瞬凍るもすぐに気を取り直し、どういうものかこと細かく聞くことにするのだが、ここで痛烈の一言。
『何でアンタプロなのにここまで言わないと判らないの?子供ですか』
殴りたくなる。
だからウェブ作成のパンフレットに私はでかでかとこう書きました。
『丸投げは請け負いません。丸投げするなら他に頼んでください』
ウェブ屋の仕事とは
と、ここまで色々言ってきたわけですが、システム開発でも同じようなことが良くあります。
ほんっとによくあります。
もう我慢することがよくありすぎて、地味に笑えないクレームでもあります。
ウェブ制作を始めて4年くらいはこの苦悩を味わい続けましたが、いつしかあきらめました。
そしてそれらを解決するべく、書面のやり取りを確実に実行するようにしました。
また、最初はどんな仕事でも請けていました。
そしてお客の無茶な要望にもすべて答えていました。
でも結局、お客の要望では売れないホームページになります。
ほぼ9割なります。
いつしか私は、売れないページをわざわざ作ることに嫌気がさし、それでは売れません。駄目ですと、はっきり言うようになってしまいました。
ところが、最終的にお客の利益がでるホームページさえ作れば、信用もあがり、様々な仕事をもらえるようになり、口コミでも広まり、仕事は休みなく増え続けます。
私個人が思っているだけのことかも知れませんが、ウェブ屋の仕事とは、お客のホームページに対する要望を聞き入れる事ではなく、ホームページによってお客の利益を出すことです。
だから利益にならないことはしませんし、売りません。
昔私はウェブデザイナーと名乗っていましたが(デザイナーとしては3流です)、今はプランナーと名乗っています。
ウェブをデザインすることよりも、読み応えのある文章を作ってあげたり、アクセスを作るための方法を教えたり、お客様自身にブログを書いてもらうように指導したりという労力に力を入れています。
つまるところ、最後にものを言うのは、ホームページで利益を出したいというお客自身です。
だから丸投げなど言語道断。
ぱっと丸投げされたものを、まったく知らない商品のパンフレットだけ渡されて、心に響く言葉など作れるわけがありません。
売りたい!というお客自身の言葉なくして売れるわけがないのです。
そこを間違わなければ、きっとクレームは減ると思いますよ。
ではでは。生意気言ってごめんなさい。