顧客とつながるコトラー流3つのニーズとWeb戦略の基本
2012年05月11日 公開

マーケティングの「マ」です。いわゆる基本という意味合いです。
といっても、私が新人Webディレクターに教えてたマーケティングの必要性の部分なので、上級者はあんまり役に立たないんじゃないかなぁと思います。
3つのニーズ
コトラーの「商品購買欲」に関する3つの「欲しい」があります。
- needs(ニーズ)
- desire(欲求)
- demand(需要)
ニーズとは
具体的な欲求ではなく、漠然とした願い。
- 「お腹がすいたのでなにか食べたい」
- 「喉が渇いたのでなにか飲みたい」
- 「机の周りが散らかっているので整理できるものが欲しい」
欲求とは
ニーズがさらに具体的なものに変わったもの。
- 「お腹すいたけど今日はラーメンが食べたい」
- 「喉が渇いたのでコーラが飲みたい」
- 「机の周りが散らかっているので、小さな棚が欲しい」
需要とは
生活に余裕があり、十分な金銭的欲求が満たされた上での「欲しい」が需要となります。
どれだけ多くの人が、老舗の寿司屋で、とれたて新鮮の大トロマグロが食べたいと思っていても、金銭的に多くの人が購入することが難しい状態では、需要は確かに特定のターゲットにあるが、「需要が高い」とはならない。
逆に、回転寿司でも十分美味しいと考え、それに対する金銭的問題が発生しない場合は、より多くの人の「需要」があるという事になります。
ニーズと欲求によってターゲットも変わる
いわゆるどの業界でも言われている見込み客という言い方が一般的ではありますが、詳細にターゲットを突き詰めると、このあたりを考えなければいけないんじゃないかなというもの。
なんでこんな面倒なわけかたするのとか思う人もいるんだけども、この辺は広告活動に役立つので、一般的にはあるいみセオリーとなりつつあるわけです。
例えばですが、「机を整理するための棚が欲しい」という欲求を持っている人は、間違いなく直接棚を探しに行くか、口コミ、検索、雑誌を利用して「棚」を探すわけです。棚を扱っているお店の店長としましては、そんな棚が欲しい人を取り込みたいのは当たり前なので、ここでSEO屋を利用する人は、「棚」という検索キーワードを何としても勝ち取りたいという気持ちになります。
ですが、「棚を買いたい」という欲求の始まりには、整理したいというニーズがあるので、ここをもっと攻めていくことで欲求を増やすことが出来るわけですよね。
そんなわけで取り組まれている一例としては
- そもそも棚が欲しい理由は何のため?
- 漫画を整理したい?資料?小物?
- もしかして棚があったらもっと家が広くなるのを知らないだけ?
という具合にですね、その欲求が発生する理由を考えていくわけです。例えば旭川に旅行にきて「ラーメンが食べたいな」という欲求を持ったなら、それは単にお腹がすいたからという理由ではなく、「旭川だから」という隠れた理由もあるわけです。
こうしたニーズに気づかずに、ただ単に目的の物だけを宣伝しても、効果が薄いわけですね。
つまり同じ「欲求」でもターゲットはそれぞれ異なる「欲求理由を持っている」ということになるわけです。
ニーズを捉えるという考え方
よくどの業界でもニーズに合わせてという言葉が使われるわけですけど、実際に聞いてみるとほとんどの人は「欲求」に合わせてという意味で使われているんですよね。つまり本当の意味で「ニーズ」に合わせていないということです。
先ほどの例で解決していくと「棚が欲しいという欲求」に関連する展開としては、以下のような方法でうまいこと広告活動を行なっている人もいます。
- ブログを書く
- サイトを分ける
- ライティングページを分ける
ブログを書く
意味もわからず企業ブログを書いている人をよく見かけますが、これも広告活動の一環として利用するなら、「整理整頓の方法」をブログに書いていけば良いのです。
なぜなら、棚が欲しい人の理由の一つとして、「机を整理したい」というニーズがあるわけです。このニーズを商品で解決してもいいですし、もちろんアイデアで解決することも出来るわけです。
こうした「整理したい」というニーズがわかっていれば、書く内容もどんどん絞られてきますし、なによりもまず相手に「情報を与える」だけで、それだけで企業の信用は深まり、商品の販売に、確実に結びつくわけです。これほどニーズに合わせた広告活動はありません。
サイトを分ける
大手サイトのように「棚ならなんでもあります!」というスタンスで運営するものもちろんありですが、あまり売上が上がらない中小企業で展開する場合、困ったことに中途半端な商品数しかなく、それを全部見せたところで、結局は大手に流れてしまうという非常に悪循環な状態になりやすいです。
そんな時は思い切って商材をぶった切ればいいのです。
例えば「机の上の小物だけを何とか綺麗に片付ける商品アイテムの販売サイト」として、その他の商品を一切きりすてて、これ一本でやっていくわけです。
また、このサイトでは、机の周りを片付けたいというニーズを満たしてあげる為に、そこら辺の周辺機器や整理術をTwitterに流したりと、周りのサイトからも喜ばれ、さらに商材もぶつからないという一石二鳥な環境を手にすることができます。
そもそも「机の上を整理したい」というニーズを更に考えていくと、「PCのケーブルを整理したい」「散らかった書類を整理したい」「コーヒーカップやペットボトル等を邪魔にならないようにしたい」と言った、かなり様々なニーズが眠っています。こうしたニーズに気がついていければ、本来の目的である棚の販売も、効率良く顧客とコミュニケーションを取りながら販売展開することが出来るようになるのです。
その他には、「本棚だけのサイト」「キッチンまわりの棚」といった、専門性の高いサイトを増やしていけば、商材の少ない企業でも、十分にユーザーのニーズを満たし、販売してけます。
ライディングページ
このへんはWeb屋さんならだいたい使い分けているのかな?
それこそサイトを分けるよりもはるかに低コストに展開出来ます。本棚が欲しい人、机の整理がしたい人、そういう欲求別にライティングページを作っておくと、効果的に集客ができ、なおかつ欲求に対する適切なページを案内できます。
ちなみになんだそれという人の為に簡単に説明しておくと
例えば iPhone をもっていて、iPhone 用のケースが欲しい場合、検索で「iPhone ケース」や「iPhone アクセサリー」といった言葉でユーザーは検索します。
ここで現れる広告をクリックした時、はじめにたどり着くページがライディングページとなります。
Android、iPhone、iPadといった多種多様のケースを扱うメーカーが、このライディングページをトップページにしたりするというのをたまに見かけます。しかし、「iPhone ケース」で検索した人にとって、Androidのケースなど、ページがごちゃごちゃしたり、目的のiPhoneケースが探せないと、直ぐに離脱します。
それを防ぐために、「iPhone ケース」で検索した人は、iPhoneケースの特集ページに飛ばすべきなのです。その専門の入口となるのがライディングページ、というわけですね。例えばブログのサイドバーへの広告を出すときも、ライディングページのあるなしで成否がわかれますので、一度考えてみるといいかもしれません。
使い分けるだけで色々と練ることができます
こんな感じで3つのニーズを使い分けると、本来顧客が持つ「欲しい」に対して、適切なアドバイスや、商品説明、売り込みが出来るようになります。
既に欲しい人には商品の長い説明でも受け入れてもらえますし、欲しくない人からしてみると、長い商品説明よりも、必要性が感じられるかどうかのほうが問題となります。このあたりをしっかり「わかった上で」Web制作していければ、より顧客のためにもなり、SEOにも強い力を発揮することが出来るようになるんですよね。
見直す点があれば、今一度確認してみてくださいませ。
それでは、また。