ブラック企業に勤務し、体も心もボロボロになってしまった方からのメッセージとアドバイス

今回お話をお伺いさせていただいた方は現在はご結婚され、いわゆるホワイト企業に勤められている女性の方です。
もう一人、さらにとてつもなくブラックな企業に務めていた方ともアポが取れ次第取材させていただく予定ですが、これはまた別の機会に。
実際に私もグレーな企業に就職していたので、話の通じる部分もありましたが、彼女の話しを聞き、やはり黒い企業は黒いんだと身にしみてわかりました。今後彼女のような不幸を招かないためにも、黒い企業についての情報を共有したいと思います。
また、どうしたら素早くブラック企業を見ぬくことが出来るのか。こうした対策も含めてご紹介させて頂きます。
卒業後、初めての企業が暗黒の企業だった
彼女が最初に就職した先。
右も左もわからないときに、よりによって就職してしまったのが真っ黒い企業でした。やりたかったことはWeb系のお仕事であり、募集内容もWeb系の広告代理店のお仕事でした。
就職期間は1年半、そしてそこから逃げるようにたどり着いた就職先も、実はブラック企業というフルコンボにより、実に3年という長い歳月のあいだ苦しみ、そして心身ともにボロボロになったというのです。
当時、追い込まれた状態がつづき、精神科に通うほどでした。現在でも、精神科への通院はなくなりましたが、例え仲の良い友だちからの何気ない一言に、過敏に反応してしまう恐怖があるそうです。
今回のテーマは、こうしたブラック企業に精神的にも壊される人を少しでも減らしたいというものです。
新卒採用、スキルがないならお金を払え
はじめに就職した時、「自分のようなスキルのない人間をこうして雇ってくれてなんていい会社なんだろう」と思ったそうです。
ところが、彼女に最初に企業がとった行動が、実に驚くべきものでした。
勿論、ブラック企業ではないところに最初に就職していたなら、その微妙な違いを察知することが出来るでしょう。ですが、新卒の彼女はこれを察知することができませんでした。
「PCスクールも運営している会社だったため、最初に就職した時に、スキルをつけるためにスクールに自腹で通ってくださいと言われました。」
こずるいですね。
その費用、なんと約30万円です。当然のことですが、はじめての就職。
お金はなく、親に借金をして通ったというのです。なんともあくどいシステムですよね。新卒をターゲットにするあたりも汚いとしか言えませんでした。
休む事はできない。なぜなら監視されているから
事務所にはWebカメラが設置してあり、音声、映像共に社長のもとへ常時送信されています。
勿論常に確認しているわけではありませんが、働いている社員としてはどうでしょうか。休まる暇もなく、無駄なおしゃべりもできませんし、会社がおかしいかどうかを会話する事もありません。
また、1ヶ月すぎれば24時間勤務。基本的に帰れない。
「会社からの外出は、お風呂にはいり、寝るために帰るだけ。大晦日カウントダウンも、会社の中で聞いて過ごした事もあります」
ここで、会社からの外出は、という発想そのものが、既に会社に監禁されている状態となんら変わりません。仕事に終われ、終わることのない労働時間も、社員一同がそういう雰囲気であるため、それが普通なんだと疑うことも無かったと言います。
重要なのは、誰ひとり帰らないと言うことです。
社長の愛人が社員であり、裏ボス
「社長の愛人は、どのようなミスがあっても、その責任は全て新入社員になすりつける。」
こっちは何も悪くなくても、それがこの会社のルールのようなもので、だれもそれに対しておかしいとは言わない。きちんと仕事している人たちをかき乱し、心身ともに疲れているところに追い打ちをかけるような存在。
勿論、最初の標的になったのは新卒である彼女で、事あるごとに呼び出され、他人のミスの責任を謝っていたのです。どこかで気付くきっかけは無かったのか、精神的に追い込まれ、体調がおかしくなる前に、どこかで防ぐことは出来なかったのか。今でも考えれば考える程、後悔の念しか生まれないと言います。
どなられ吊るされる月1の全体朝礼
これは私の就職していた会社でも恒例だったのでよくわかります。
どなられたくない、吊るされたくないという思いは誰にでもあり、そしてその心理をたくみについてくるいやらしい会議だったと言います。
これが毎月毎月続くと、精神的にも結構来るんですよね。「誰もが標的になりたくない。そんな思いから仕事に打ち込まなければならない状況を作り出していたと思います。多分そこがあの会社の、悪い意味で社員をコントロールするうまいやり方だったと思います」
人がドンドン切られていく恐怖を、わざわざ報告してくる
2社目の会社は、経営が悪化して、社員をドンドン切っていきました。その時、次はあいつを切る、このままいけばあいつも切ると、わざわざ報告してくるというのです。
彼女は、1社目をやめ、間を空けず2社目に入社。
この時、1社目があまりにも嫌だったという気持ちが先行し、新しい仕事を見つけることに必死だったと言います。
そのため、実は面接の時に「残業代は出さないから」とはっきり言われたそうですが、それでもいいとすら思ったそうです。
しかし、実際はドンドン社員がクビになっていきます。
そのため、Web系のお仕事以外にも、紙媒体の仕事や、当然のことながら営業も人が足りず、打ち合わせやら何やらかんやらの、通常営業が行う仕事もやらなければならなくなり、当初募集していた内容とは、最終的にかけ離れた業務をやらされていました。
いつクビをきられるのか。
また、人がいなくてもクライアントにだけは迷惑をかけられないという思いから、結局寝ずの仕事に追いやられていったのです。
こうならないためにどうしたら良いのか?
彼女はまず第一に、新卒にしてもなんにしても、すこし嫌だなと思った時に、相談できる人をきちんと探しておくべきだったと後悔しています。
実際に、おかしいと気付き、そして救ってくれたのは会社の外部の先輩でした。
1社目をやめた時は、弁護士まで相談したとのことですが、それも先輩から現在の仕事がおかしいと言われて初めて行動に移せたわけでして、それまではどれほど辛くてもそれが当たり前だと思っていたのです。
では、彼女のアドバイスを元に、こうならないためにどうしたら良いのか、もしこうした状況があれば、これは変だなというポイントを押さえてみました。
- ブラック企業に就業規則はない
- ブラック企業に雇用契約書はない
- やりがい、夢、情熱など抽象的な文言を言う、言わせる
- 定時より早い時間の出勤、サビ残、休日出勤を、社員全員が自主的に行なっている雰囲気がすでにある
- セクハラやパワハラは社内文化となっている
- 怒声が飛び交うような恐怖経営
あなたの現在務めている会社は、大丈夫ですか?
今一度確認して見ることも大切ですね。
最後に
さて、全て聞き終え、最後にSkypeを終了する時、1つだけ伝えたいことがありますと言われました。
この部分については、少しデリケートな部分だったので、可能な限りそのままのメッセージでお伝えしたいと思います。
ブラック企業は、自分たちがブラック企業ではないと、仏のような顔で、笑顔で言います。本当に寝ないで仕事をして来ました。その結果体も壊しました。
医者からはストレスと働きすぎが原因という、言われても当たり前の事を言われました。
最近になって(ブラック企業に務めていたのは約9年前)余裕ができ、それまでは、恥ずかしながら、自分の体調の変化に気づきながらも、忙しすぎて病院にすら行けませんでした。
今の会社に入って、落ち着いて。あ…そういえば、病院に行ってみようと思ってたんだ!!と思い、行ってみたら…。
「子供できませんね。治療が必要です。」と言われたのがつい1年前の事でした。
現在、結婚もしましたが、そのことがショックであり、後悔の念もあります。なんであんなところに務めていたんだろうと思うと、今でも悲しくなります。
がむしゃらに働いている時は、結婚なんてするわけがないとも思っていました。でも、出会う人も月日がたてばかわり、もしかしたらあるきっかけで結婚することもあるかもしれません。
そんな時に、こんな理由で後悔しないようにして欲しいと思っています。
会社の中では、その空気の中だけでは気付くことは難しいと思います。
出来ればなにか嫌だなと思うことがあれば、すぐに会社の外の人に、相談やアドバイスを貰うことが大切だと思います。
この業界では(IT業界)、とくに女性の方で体を壊している方も多いです。こういうのは、早めに気づいて、早めに対処して、出来れば良い方向に歩んで欲しいと思います。
追い詰められ、自分が自分では無くなる前に、そのことに気付くきっかけとなればと思います。
それでは、また。