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「20~30代の死因の第一位は自殺」のおかしな点|本当に深刻なのは50過ぎてから

日本の老後について
平成25年版の自殺対策白書から、20代~30代の死因第一位に「自殺」と発表され、それらを紹介されている記事をみてまわる中、すこしおかしな表現をされている方が多く、とりあえずちゃんと自殺対策白書を見てから言って欲しいと思うわけです。

1点だけ、どうも腑に落ちない事がありまして、今回はその点について多くの人が、変な誤解をしているポイントを整理したいと思います。

20代、30代の死亡原因第一位が自殺について


勿論ですが、自殺をしないように行政がなにかしらの手を打つべきといったご意見に関して反論するわけではないのですが、とりあえず数字だけを見てみましょう。

特に私が最も気になった記事はこちらです。
20代死因の半数が自殺。私たちに何ができるか?

20代の死因の半数近くが自殺であることがわかりました。政府はこれを「深刻な状況」と指摘。「特に若年層に重点を置いた取り組みが急務」と強調しています。

若い世代の自殺問題は20代のみにとどまりません。20~39歳の各年代における死因の第一位も同じく自殺、となっています。20代、30代ともに死因の第一が自殺、であることは尋常なことではありません。

この数字は、国際的に見ても突出しているようです。15~34歳の世代で死因の第一位が自殺となっているのは先進七カ国で唯一日本だけとのこと。政府が対策を急ぐのも無理はありません。


尋常なことではありませんと言われていますが、特に20代の自殺者推移は、平成10年の約3,700人から比べると、平成24年は約3,000人であり、緩やかな減少傾向にあります。

30代の数字では、平成10年約3,800人から、ピークである平成20年約5,000人と、一度大幅に上昇しましたが、最新の平成24年は4,201人へと減少傾向にあります。

先進七カ国においては、確かに日本の自殺者比率は高く、人口10万人対死亡者数数(15~34歳、死因の上位3位)では、1位5,673人となっています。しかし、アメリカは第3位で9,418人であり、2位にいたっては殺人10,309人と、日本はまだ平和じゃないですかとも思える数字。

さらに言えば、この人口10万人対死亡者数の算出も非常に疑わしい表でして、日本の1~3位の死亡者数が9,404人に対して、アメリカは51,435人と膨大に占めていて、カナダにいたっては1~3位が3,303人と、どう考えてもフラットな算出をしてないんじゃないかと思います。

率なのか人数なのか


多分自殺白書のこの表が誤解を生む原因だと思うのですが。
自殺白書総数
たしかにこれだけ見ると、20~39迄がダントツで自殺しているかのように見えることは確かです。
なので、他の死亡原因を取り除き、自殺だけに絞って算出してみるとこうなります。
自殺推移
もうちょっとわかりやすくグラフにするとこうなります。
グラフ
こうして見ると分かる通り、本気で心配なのは50代の方です。

ただし、年代人口に対する自殺死亡割合で考えると、平成21年から20~30代は減少傾向にありますが、平成9年からぐっと上がっているのも事実ではあります。しかし、この年代別死亡割合で考るならば、50~60代、60~70代が毎年1位と2位をキープし続けている事も考慮する必要があります。

また、0~19歳までに関しては平成1年から、毎年ゆるやかに上昇し続けています。仕事が開始される年代以前に、このあたりの自殺問題のほうが重要かも知れません。それでも年代人口別自殺割合で見てしまうと、50代の方と0~19歳までの比率は、およそ10倍の開きがあり、本当に50代以上の人たちが住みにくい国であると判断できます。

ポイントは老後


上で紹介した記事には以下の様な記述がありました。

若い世代の自殺の原因を見てみると、「健康問題」が一位ではあるものの、その原因と推測される「就職の失敗」や「進路の悩み」「勤務問題」などが増加傾向にある、といいます。

これらは、確かに若い世代の原因となるかもしれませんが、そっくりそのまま50代を過ぎた方にも当てはまることでは無いだろうかと。

上記記事で全く触れられていませんでしたが、もし割合でみるならる職業別自殺者数の構成割合のほうが重要ではないかと思うのです。
自殺者職業別
ちょっと見えにくい方は自殺白書のページでPDFをダウンロードしてじっくりみてもらうとして、左側を一括りに「無職者」とつけていますが、実質ここだけで47.5%もの自殺者がいるわけです。もっと言えば、このうち、「年金、雇用保険等生活者」が22.4%もいるという点です。

つまり、進路、勤務問題よりも、はるかに老後の年金生活の方や、50歳を過ぎた当たりからくる「健康問題」によるお金の心配のほうが、本当に深刻な問題なんじゃないですかね?

個人的にはむしろ、20代~30代のストレスの心配よりも、これから訪れる50代からの様々なストレス元について話し合ったほうが良いんじゃないかと思った次第です。

よく考えてみて欲しいんだけど、50代から自殺が加速するような将来の不安って、10代も20代も30代も40代も全ての世代で影響を受けるストレスであり、その不安が若い年代にもストレスを与え続けてる可能性もあるわけだよね。自殺白書にも若い世代の自殺を何とかせねば的な事が書いてましたけど、ほんとにそこがボトルネックなんですかねー?

20代、30代の自殺割合が1位なのはわわかりますが、そもそも自殺対策のためのデータに、他の死亡原因と比べて1位なんていう情報要りますかね?なんかこの白書自体も、作為的に見せられている気がして嫌な気持ちでいっぱいでございます。

みなさんはどう思いますか?

それでは、また。
@yamada_nt
Posted by@yamada_nt
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Comments 5

There are no comments yet.

名前を名乗れない人  

世代ごとの人口の割合も加味する必要がありそうですね。

2013/06/21 (Fri) 08:36

b  

No title

そもそも平和で、犯罪などに巻き込まれず、病気で死なない健康な人が多いほど、
全体における死亡理由の「自殺の割合」は多くなるんじゃないのだろうか。

2013/06/28 (Fri) 18:08

さく  

すみません、
禁煙で辿り着きました。
その後禁煙は続いてらっしゃいますか?
実は子がアレルギーの為、
8年半禁煙してたのですが、
その子が亡くなり、喫煙復活してしまい…
胸が痛く首も詰まった感じにまでなり、やっぱり喫煙しないといけないと思い検索してました。

いきなり不躾に失礼しました。

2013/11/03 (Sun) 15:02

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2013/11/19 (Tue) 01:33

自殺問題で偶々辿り着きました  

No title

若い世代の自殺数が緩やかな減少傾向に有る事は、そのまま少子化で説明可能ですね。
世代間の自殺者数も、年齢階級別の人口比率で補正してみてください。

健康問題関連の自殺は行政の取り組みでは減らしにくいと考えられるので、経済的理由による自殺が主なターゲットとなるのですが、経済的理由による自殺は割合として、高齢者(健康問題が多い)よりは若年者に多い事が考えられるので、そういう理由で、若年者の自殺が取り組みによって重点的に減らそうとされる対象になるのではないかと思います。

なお健康問題による自殺はその他の文献等を参照すると、一位は精神疾患(うつ病など、たぶん認知症、アルコール中毒もこれに含まれる)、二位は皮膚疾患(アトピー、他)という事になっています。

2013/12/16 (Mon) 18:36

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