ECサイトの売り上げアップ効果が高い認知的不協和の整合性テクニック
2019年11月25日 公開

ECサイトの売り上げアップのために、いくつかのコツがあるんですけど、そのうちの一つが認知的不協和です。
人間は不思議な生き物で、全てのものにつじつま合わせをしなければ、認知しにくい状態に陥ります。
この認知しにくい状態に陥ると、落ち着かなくなってしまうため、頭の中で都合よくつじつまを合わせようとします。
認知的不協和には以下の2種類がECサイトに効果的だと言われています。
・モヤモヤの状態を解決させるため認知させる
・購入後のモヤモヤを解決するため
今回、この二つを使ってどのようにECサイトに活用するのかをご紹介します。
そもそも認知的不協和とは
"人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態、またそのときに覚える不快感を表す社会心理学用語。アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された。人はこれを解消するために、自身の態度や行動を変更すると考えられている。"
弁護士は、実際には有罪だと考えているクライアントを無実だと弁護する必要が生じた場合、「不協和による負の緊張感」を感じるだろう。
ウィキペディアより
過去に行われた実験では、ずっと同じつまらない作業をさせたグループに報酬をつけた場合、報酬が低い方が楽しく感じ、報酬が高い方が楽しく感じなかったというちょっと怖い結果があります。ずっとつまらない作業をしているのに、さらに報酬が低いため、自分の中でつじつまが合わなくなってくる。
このつじつまをあわせる思考が働き、「楽しい」と錯覚するようになったわけです。
もう少し私たちの生活にそって考えてみましょう。
例えば糖質制限ダイエット中にも関わらず、たまたま出張しているときに飲み会に出席してしまい、色々なものを飲み食いしてしまうケースがあります。このとき、人は何も考えずに食べたりはしないのです。
不思議なもので、
「出張中だから」
「人に誘われてしまったので仕方ない」
「明日運動するから大丈夫」
と、いったように自分が決意した糖質制限を裏切っても良い理由を頭の中で考え、答えを出そうとします。
これが「認知的不協和」を代表する現象です。
喫煙者であれば、禁煙した翌日には、この認知的不協和に陥り、あらゆるタバコを吸うための理由を頭の中で考え出し、禁煙したのに吸っても大丈夫だという答えを出そうとします。
「みんな吸ってるし」
「たばこコミニュケーションが必要だし」
「別に今まで吸ってても病気になった事ないし」などなど。
こうした人間の性質を理解すると意外とスムーズにECサイトに活用する事ができるようになります。
モヤモヤの状態を解決させるため認知させる
テレビを見ている人なら誰だって同じ現象が起きているのがCMです。
これは、「一体この後どうなってしまうのか!?」→CMという流れがほとんどだと思います。
これはあえて人間の脳に続きがきになるようなモヤモヤを投げかけておく事で、その後の整合性を保つために、CMが終わるのをじっと待たせているわけです。
これを商品の認知に利用すると以下のようになります。
「お米の品種でこんなに違いがあるとは知りませんでした。このお米を食べるまでは・・・」
お米によって味の違いなんてそんなにないと思っている人と、お米によって味が当然違うと知っている人両方にモヤモヤを投げかけ、認知のきっかけを作る事ができる。
「テレビを見ながら、寝ながら勝手に腹筋がついてくる」
もう遥か昔に使われたキャッチですけど、お腹に巻くだけで電気信号によって勝手に腹筋がついてくる商品のPR文。
多くの人は、寝ながら勝手に腹筋がつくわけがないと考えているので、ここでつじつまを合わせるために、理由が知りたくなる。
「SSDが今だけ半額」
地味ですけど、いつもは割引のない商品が、なぜ今だけ半額なのか気にならせてしまったら認知してもらうきっかけになります。
「お客様満足度95%のフライパン」
こちらもフライパンなんてどれも一緒だと考えている人に、なんで?と思ってもらい、サイトに誘導できれば認知成功となる良い例です。他にも「主婦によって選ばれた調理道具」といったワードが使われる事が多かったです。(今は料理=主婦と断定するのは時代的背景としてよろしくありませんのでご注意を)
ただ、忘れて欲しくないのは、これらはメディアとしてのあり方の話。
Google広告としては、無駄なクリックを減らしたほうがコンバージョン率も高くなるし、広告費も減らす事ができます。
そのため、例えば優れたボールペンを販売するときにも、
「名入れボールペンなら」
「高級ボールペンをお探しなら」
といった具合に、相手が今欲しいものをワードとして広告に出したほうが効率的な面もあります。ここは注意したほうがいいですね。
購入後のモヤモヤを解決するため
人は購入した物の価格と、自分が考える価値について、整合性を取ろうとします。
例えばAmazonでやっすいイヤホンを購入した方は、届いたものが微妙な音しか出ない場合、その価格によって「こんなものか」と納得しようとします。これも認知的不協和の一つです。
逆に自分にとって高いと感じるものを買った場合、なんだか納得できないと感じると、それを頭の中で解決するために、クレームを入れたり、レビューを書いたり、別の商品を探したりします。
このような問題を解決するため、昔から使われいた手法がテレビCMでした。特に価格の高い車などのCMは、認知として使われると同時に、購入者に安心感を与える効果の方が高いと言われています。
人生における高額商品の一つに生命保険などが上げられます。月々小額しか払わないので多くの人の感覚は麻痺してしまいますが、よくよく考えれば、生命保険がいかに高額商品であるかがわかります。この辺もテレビCMによって、利用者自身の不安やモヤモヤを解消するために流れています。
現在のウェブ時代では、購入者へのメッセージカードや、あえて高いものであると認知してもらうために、箱を豪華にしたり、MacBook Proであれば画面ふきを追加したり、他にも利用者たちの「良かった」という声を見せたりします。
実は価格設定もそうでして、多くの人は安いものが欲しいと思いますが、同じくらい良いものが欲しいと考えています。
あとは財布の中身と相談になるのですが、例として、本当は一番スペックの高いMacBook Proが欲しいと思っているんだけど、できれば安いやつが欲しいという矛盾を抱えている人がたくさんいます。
そんなとき、Google検索を使って、安く購入した人の使用感を徹底的に見て、自分が必要なスペックはこの程度の低スペックでも十分やっていけるという理由を、あえて探す事があるのです。
自分の脳がそれで納得すれば、本当は高スペックのものが欲しいけど、安いスペックのものを買い、満足するのです。
他にも利用者のコミニティを形成したり、店舗を用意して人が見えるサポートを行ったりも同様です。
認知的不協和の整合性をとるのは購入後が多いですが、購入後の不安を事前に解決する回答などを用意しておけば、それだけでコンバージョン率がアップします。
きちんと買って良かったという感情を持ってもらう事ができれば、リピーターとなったり、紹介者となってくれます。
ユーザーがどのような不安によってモヤモヤするのかを言葉、テキストにするとより具体的な解決方法を考える事ができますので、是非お試しください。
それでは、また。