web屋の相場が公開。高いとか安いとか、全く議論ならない本当の理由
クライアント側からしてみたら、これを目安に高ければ注文しないという劇的な公開です。
ですが、我々からしてみたら、これほど当てにならない表はない。
まして、これを元に高いとか安いとかというのは、確かに地方格差や、一定の金額とならない業界ということを再確認できましたが、『ふーん』くらいなもので、詐欺とか安すぎとかという声は一切当てにならない。
今回は、そんな『参考にはなるけど・・・なんだかなぁ』というユーザーに向けて、そのもやもやを解き明かしてみたい。
提示がアバウトな事しか言えない摩訶不思議業界
結局それ以外何者でもありません。
例えば『高度なFlash』とあるけど、この基準は一体何か?
デザインはどうなるのか、イラストは作るのか、動きは一体何をもって高度というのか。
Aさんが頭にイメージする『高度なFlash』とBさんの思い描く『高度なFlash』とは全く違うものになる。
『サイト全体をMovable Type化(30~80ページ程度)』とあるけど、そのコンテンツ性や売れる文章の仕上がり具合などをとって考えても、これまた違う。
過去にニュースレターで1ヶ月230万稼いだ事があるAさんと、過去にwebデザイン最優秀賞をとったBさんとが作るものは違う。
補足的にDUIという項目に、『ユーザーインターフェイスの設計(グローバルメニューの設計)』という謎の設計が盛り込まれている事が、余計に価格のアバウトさが伺えます。
世界的に効果の高いインターフェイスの事をさしているのかもしれませんが、それって『ごく当たり前』に考えているweb屋は沢山いますよね。
どうせ作るならいいものを作りたいと考えている人は沢山居るわけで、『当たり前』なんだから価格にするのはどうなのよと絶句してしまう人は多いはず。
それを頼まないと、優れたインターフェイスデザインにしてくれないという意味になるからですね。
こうした内容のイメージはつかめても、その完成度がどれ程のものなのかが掴めない価格だからこそ、『安い』とか『高い』という人がいるわけです。
安すぎ派と高すぎ派の脳内イメージ
安すぎると思った人は、頭の中に掛けめぐる『作業人数』『作業時間』や『打合せ時間』などを考慮し、無理無理となれば『安すぎ』と言います。
高すぎると思った人は、頭の中で、これくらいの期間で出来るし、これは取りすぎだろ。
とか、こっちの地方でこんな金額で発注する業者なんているわけねーだろ!!と考えます。
しかし、それぞれの完成した時のイメージが人それぞれ違うのだから、次のようになります。
『安すぎ派』はこう考える
これを高いと言うって事は
・完成度が絶対ひくいだろうな
・たいしたデザインではないだろうな
・細かい打ち合わせなどもしないで適当に作ってるから高いとかいうんだ
・あとは、適当な事言って、月額料金が高いんだろうな
『高すぎ派』はこう考える
これを安いと言っている人は
・素早く作る為の技術やノウハウが無いんだろうな
・無駄に大人数で作ってるんだろうな
・オレならこんなのすぐ作れるし
結局、お互いが今回提示された内容は、全く当てにならないというところに落ち着き、『なんだかなぁ』というもやもやだけが残るのです。
つまり、高い安いと議論したところで、実際ホームページ開設後、月2000円くらいしか利益がでないホームページになったり、同じ金額で違う人が作ると月100万収益が出るホームページになったりする為、この価格表に対して、安いとか高いとかと言う議論は、微妙だと言う事になります。
技術に対する評価価格という参考にはなりますが、結局その技術も、何をもって証明すればよいのかと言う定義や、資格などは有りませんので、アバウトさはぬぐいきれません。
定義不能な業界技術
『AjaxやAPIを使った少し高度な仕組みの作成』なんかは典型的で、『少し高度』という定義が全く意味不明です。
技術力をもった出来る人から見たとしても、意見は割れます。
『サイトのデザイン作業』も同様。・それはこれくらい貰わないと技術料として意味を成さないと思う人も居る
・そんなの即座に作れるんだから金額はこれくらいに抑えるのが当たり前だろうとか思う人も居る
・時間さえもらえたら個人で激安でつくるっス!とか言える学生もいるかもしれない
こうして考えると、この業界の価格定義と言うものが、どれだけ見えないかが伺えます。
でも、学ぶべきところは学んどく
私たちは、顧客とのやり取りを得て、自分の技術を駆使してwebサイトを完成させます。
そこには、制作コストがかならずあるわけで、急な変更や、激しいクレーム、そして値引き等、様々な金銭的問題が発生します。
その時に、今回例として出たざっくりとした『提示項目』と言うのは、かなり重要なものだと改めて知る事になりました。
それをさらに細かくしておく事で、後々発生する様々な問題もスルー出来るかもしれません。
Flash一つとっても、アクション1個につき『いくら』というようなものまであるのがベターかもしれません。
わからない人達にとって、それは一体なんだと言う事になりかねませんが『こういう動きをして、こうした結果になって、ボタンを押すと『ぐわーっと』動くもの作ってね』なんて言われても、アクション一個『この値段』で、動きのあるテキストが『この値段』ですから、こうなりますよと言えます。
CMSの導入で『この値段』。さらに、ページを10ページくらいはこちらで作ると『この値段』とか、はっきりとした項目価格があれば、あとあと顧客からしみても、これ作るならこんなもんかと予想できる為、無理難題も出にくくなると感じます。
ざっくり見積もりから詳細見積もりへと移行する2段見積もりなんかも有効かもしれません。
顧客への対応としては
あたりのやり取りが、最も重要かなと。1)見積もり項目の細分化
2)様々な動きのプログラム、及び複数のFlashサンプルを用意しておく事
3)公開後の修正は無償ではないという契約書
ちなみに私は、新規ウェブサイト作成に
上記3つをはっきりと定義し、さらにオプションで・静的ページ作成基本価格
・CMSサイト作成基本価格
・Eコマースサイト作成基本価格
と言う感じで作っていました。・サブページ作成
・画像編集
・動画撮影
・動画編集
・Flash作成(アクションスクリプト無し)
・Flash作成(アクションスクリプト有り)
・お問合せフォーム設置
・APIを利用した動的ページの作成
・プログラム作成
etc.
これを、Flash作成一つとっても、アクション1個何円とか、テキスト文章1個何円とかと言う風にさらに細分化してみようかなと、相場表を見て思いました。
地方格差を認めた上で、なにをするべきなのかと考える事
北海道旭川という町での、10ページの静的ウェブサイトの平均価格は約220,000円と聞いた事があります。
それを5~10万くらいと考えるクライアントが圧倒的に多いのが現状です。
だから旭川と検索して10ページ目以降の中小企業のホームページというのは、個人が作ったようなページしかないのです。
ワードプレスやEC-CUBEを使った120万クラスのものでも、20万~40万くらいしか望めません。(ページや文章もある程度こちらで作りこみしたもの)
そこに、100ページくらいで、グローバルメニュー使って、SSL使ってFlashもゴリゴリ使って250万円ですねと言える勇気ある制作企業が現れるのかと言えば、まだまだ現れそうにありません。
そういう意味では、この価格表は、私たちを助けてくれる営業ツールページとして活用はできますよね。
私が過去にこれまで作ったwebシステムで最高760万と言うものが有りますが(専用サーバー、専用バックアップサーバーや専用回線、ネットワーク機器なども含む)、発注は札幌でした。まぁ一人でよく作ったなと自分を褒めた記憶が有ります。
そんなわけで、今回のウェブサイト相場表は、価格設定の違いは認めるしか有りませんが、細かい項目の設定と、細かい見積もりは、きっとweb屋を助けるツールになるのかなと感じました。
[追記]結局、何が言いたかったかと言うと
私はアレを見て、詐欺だなと思った口で、そんな取れないだろと叫びたくなりました。
以前120万クラスのものを、40万くらいで導入した記憶が有りますし、10年も作ってたら、50万クラスのものを、5万とかで作った記憶も有ります。(あきらかに赤な日数を要しました)
それでも仕事はとってくるし、利益を出す為にどうするかを常日頃考えています。
高くとりたくたって取れない環境で悩むWEB制作者。
そんな人はたぶん沢山いるはずです。
そんな人達にとっての最重要項目は、予定外の注文や、度重なる変更、そして公開後の手直しです。
これらを打開する為に、まずこの相場表をクライアントに見てもらうと同時に、きっちりとしたサービス価格の提示が、弱中小企業のWEB制作現場には必要なんだと思い記事にいたしました。
それも細分化したものがあれば、より効率よく作業が進められると感じます。
少ない中でどれだけ利益を出すのかと言う『技術』こそ、多くのWEB制作者に求められているのですから。
皆さんもこれを機に、価格項目の見直しをしてみてはいかがでしょうか。
それでは。また。
(自分が何を言いたかったのかを整理しきれず勢いで書いて、グダグダな記事になってしまった悪い記事例。ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。あまりにも主張なきエントリに反省し、おんなじ記事を整理して書く事にいたします。ほんとすいません)
追記
整理しました。
[修正版]ウェブ制作価格を相場以下で受けている企業が覚えておいて損のない5つの防衛手段
別物に・・・。