webサービスを有料化するときの5つの注意点
『画像共有を目的としたwebサービスを現在無料で公開しているんだけど、会社の上司から有料化すれと言われて困っているの』
はっきりといつだったか覚えていないのですが、当時EXloveというものすごいマニアックなオンラインゲームで知り合った子から、こんな相談を受けました。
あのころはSEOの本なんかもゴリゴリ売れだしていた時代で、ちょうど『サービスは無料』という風潮に切り替わる手前くらいの時代。
いわゆるサービスそのものに課金をしても『ある程度』利益が出ていた時代がありました。
Betaというサイトの横に理の言葉がつくようになる前の話ですね。
当時、最も主流であったバナー広告は下降気味
その当時の主流はバナー広告という収益化。
しかし、効果は6年ほど前に薄れ、よほどアクセス数が無い限り、企業の事業として成立させる事は難しいとされていました。
彼女の企業においても、この広告展開はうまくいかず、サービスの存在そのものの危機が訪れていたのです。
そんな状態が続き、上司から月額課金のシステムを導入すれというお達しが来たのです。
私個人の見解としては、webサービスを有料化する事はおろかな事だと思っています。
自らの首を絞め、ユーザーを無視する行為であると。
実際にwebサービス有料化をしてコケてしまった企画を行った事もありますし、企業の依頼で行った有料化も確実にこけました。
ここでいう有料化、というのは、今まで無料で提供してきたサービスを有料にしてしまうと言う事です。
ではどのような展開が望ましいのか。
web事業で最もお金がかかるのは開発費用
webサービスをするにあたり、この辺りから整理する必要があります。
レンタルサーバー代が、100M5,000円とか400M10,000円とか使ってたら、やってけません。古いレンタルサーバー屋さんに多いので、この辺りから整理する必要があります。
それを踏まえたうえで、サービスの開発を行う時間に支払う給料分が基本的開発費用になります。
つまり、現行で動いているwebサービスのほとんどが、先行投資されているというケースがほとんどなのです。ここからさらに機能の追加や、新しいサービスの提供をする場合は、ある程度の利益が出ているか、利益の見込みが無ければなりません。
楽しんで開発が出来る会社なら良いですが、ほとんどの場合そうも言ってられません。
webサービスの開発の流れを、これまでの経験からまとめて見ます。
1)絶対的なwebの基本『アクセス数』
webサイトを作る時に顧客とあらかじめシンクロしておくと良い7つの基礎でも述べたとおり、アクセス数はそう簡単に集まるものではありません。
日々のたゆまぬ努力が必要です。
そういう意味では、無料のwebサービスの意味というのは『アクセス数』と言う事になります。
リリース後の宣伝等、いかにそのサービスを常時使ってくれる人を確保できるかが勝負の分かれ目といっても良いでしょう。
ここでアクセスが集まらないのであれば、マーケティングに失敗したか、宣伝方法に問題がありますので、企画を練り直した方が言いです。
2)無料サービスの機能強化
趣味でやっているのでない限り、ユーザーの意見に耳を傾けて、なるべくユーザーが使いやすい形に整える必要があります。
これによって、常時使っているユーザーが、また新たなユーザーを紹介してくれたりします。
このあたりの作業を疎かにすると、いつの間にかユーザーは、次の違うサービスに乗り移る可能性が高いのです。
はやい段階で、あまり宣伝もしていないのに、無料のwebサービスを使うユーザーがいるとすれば、そのユーザーは、相当鼻の効くユーザーです。その他のwebサービスにも興味を持ちやすく、ユーザー離れし易いと言えるでしょう。
3)無料だった機能が有料になったら終わる
先ほど紹介した女性の話に戻りますが、この方の事業は上司の強い意向によって、完全に有料化してしまいました。
アクセス数も月間120万PVあったと言うのが上司の目を曇らせたと言えます。
完全に有料化になってから、3ヶ月で15万PVに落ち込みました。
しかもそのほとんどが、これまで紹介してくれたサイト等からの新規訪問者だったと言います。
月額わずか500円ですが、収益はほとんどなかったとのこと。
さらにこのケースが最悪だったのが、画像を既にアップロードして共有しているユーザーからの猛烈な苦情。
『無料でやる意味は全く無い』という上司の一言で、彼女が担当したこのwebサービスは幕を下ろしました。
最初から有料であれば、このような事態にはなりませんが、その場合、アクセスの確保が難しくなります。
4)有料化は新機能、新サイトが好ましい
ただ新機能をつけて有料ではユーザーは納得しないのが世の常です。
無料新機能2つ+有料新機能1を同時にリリースするのが、今までの経験ではベスト。
有料機能だけをリリースし続けると、無料で使っているユーザーがいなくなります。
有料ユーザーだけでなく、無料ユーザーもクライアントであるという事を忘れてはいけません。
webサービスを企業として開発するのではあれば、このあたりまでは企画段階で練っておく必要があります。
また、ある程度安定間のあるPV数を確保できるwebサービスを手に入れたのであれば、これまでの開発費用を広告費用と考え方を切り替えるべきです。
新たに作る『最初から有料の新サイト』への広告宣伝が出来る為、無駄にはなりません。
5)有料化したユーザーのビジュアル面と機能面の配慮
非常に厄介というか、今でもその解決策が出せずにいる最大の難関。
まず、細かいところですが、有料ユーザーは、お金を払うだけの満足感を、ビジュアル的、もしくは機能的に求めています。
例えばmixiなら、有料ユーザーのページには、有料ユーザーとわかる表記があります(ビジュアル的)
ニコニコ動画であれば、有料ユーザーのコメントが無料ユーザーよりも目立たせる事が出来たり、機能的な面で、アップロード制限を受けにくかったり、沢山の動画をアップできたりします。
モバゲーであれば、アバターの服や見た目と言うビジュアル面の強化に、お金がかかります。
お金は対価であり、その価値はサービスそれぞれに違います。
アバターのように、見た目という一つの価値を作り上げて、その対価として有料にする事もあれば、一つの便利な機能に価格を設けたりも出来ます。
どこにその価値を作るのかがwebサービスの肝といえるでしょう。
まとめ
とりあえず有料化すると、お金がほしいのかコノヤローと言われる世の中になりました。
サービス開始には先行投資をし、新サービスの開発にも基本的にお金がかかりますが、そんな理由はユーザーにとって見える部分ではありません。
今まで無かったところに広告が増えただけでコノヤローと言われます。
あとから入れるくらいなら、最初にまず広告くらいは入れておきましょう。
無料→有料化
・機能が使えなくなるなど不便になってはいけない
・初期から比べて広告が増える等、うざくなってはいけない
それでは、また。