ホームページを作る人のネタ帳

Web屋がカオスに陥り易いのは一体なぜか?

某ハンバーガーショップに勤めている友人が、会社から『お客様に売っているものは時間である』なんて言われてもピンとこないんだよねぇなんていう話をしていた。

『売ってお金貰ってんの食べ物じゃん!?時間ってなに』と、心の葛藤をあらわにしていたんですが、なんとなくファーストフードで食べている学生とか見ていると、そこで一緒にワイワイおしゃべりしながら食べている人間関係の繋がりを売っている、という風に捕らえる事もできますね。

そうやって考えると、Web屋って一体何売ってるのかなぁなんて思い始めた。
今更?っていう人もいるかもしれないですけどね。私たちは、Web技術なるものを駆使して商品を納めるわけなんですけど、

ようやくWeb屋がカオスな理由が
見つかった気がします。


Web屋の商品がカオスな理由


良く考えてみると、売っている商品群が異常に多いという事に気がつきます。
それは、デザインであったり、CSSなどのコーディング技術(表現技術)であったり、検索エンジンから正当なアクセスを貰う為のSEOの知識であったり、Webサイトのユーザビリティの知識であったり。

ざっと洗い出すと以下の商品があるように感じます。
  • デザイン
  • 広告表現
  • CSS等の表現技術
  • JavaScript等を使った遊び
  • JavaScript等を使った表現技術
  • peal・PHP・C等のプログラム技術
  • Web企画
  • 文章指導
  • 文章制作
  • 動画撮影
  • 動画編集
  • Flash作成技術
  • Flashデザイン
  • ActionScriptの知識
  • ユーザビリティ
  • SEO知識と施工技術
  • etc.

でもって、これらの商品をハンバーガーと同じように例えたとして、実際売ってるものってなにかなぁと考えると・・・。

実はクライアントが2つになっている

という事に気がつきます。

えっ?っていう感じかもしれないけど、たぶんそんな感じです。
Webやの受注
発注クライアント側が、WEBマーケティングに長け、ある程度の指示の中で制作する場合は、クライアントだけを見ていれば良いわけですが、実際そういうケースというのは地味に少なくて、WEB制作者側である程度のマーケティング力が必要とされます。

その知識が、Web屋からクライアントに提案するサービスに直結します。

『こういうサービスを開始すると、こういうユーザーに喜んでもらえて、アクセスが増えます、もしくは売り上げが望めます』といったやり取りとなると思います。

つまり、多くのWEB屋が見ているのは、クライアントの顔色でもあり、エンドユーザーの動向であったりするわけです。

一番の考えとしては、発注クライアントが満足しなければならないのですが、エンドユーザーも満足しなければ、結果的には後々発注クライアントの不満となりえます。

この辺りから、WEB屋がカオスになりえる理由が見つかってきます。


『クライアントの要望』が、必ずしもアクセスに繋がると言えない


先ほどの書いたとおり、クライアント側である程度WEBマーケティンのスキルがあり、それを元に分析した結果の発言ならば、その通り行えば良いので、これほど楽な作業はありません。

しかし、多くの場合は、
『フィーリング』
『他のライバル企業HPへの憧れ』
『見た目』

で発注される事が多いです。


しかも、これらの依頼をなるべくクリアしつつ、最低限のユーザビリティ、SEOの課題もクリアしなければなりません。

『トップはどーんとアニメーションする奴でいいから』なんていう課題がくると、トップページでやれる事が限られてしまいますし、なかなか思うような設計が出来なかったりしてしまうこともあります。

予算との戦いというのもありますし、エンドユーザーが喜ぶ仕掛けの提案もクリアするとなると、表現したいと考える100%のものを、WEBサイトに詰め込む事は、よほどの事がない限りできないのです。

それでも、100%が出来ないからといって、クライアント、及び、エンドユーザーの両方に満足を届ける為には、持っているスキルや知識の範囲を、増やすしかないと感じます。

これは、専属のスキルをもつ人員を増やすか、一人で抱える範囲を増やすかのどちらかになると思います。人員を増やせない場合、その殆どがカオスの仲間入りするはずです。


二つのクライアントに収めるものとは


納品企業に収めるものは
『技術』 と 『売り上げ』 『アクセス数』 そして 『夢』 だったりします。

そしてエンドユーザーに収めるものは
『時間』 『便利』 『楽しさ』 だったりします。

この『不確定2極信条論』こそが、WEB屋をカオスに陥れる最大の理由のように感じます。

このあたりは、『実はやる事は一緒』かも知れませんが、信条が大きく変わり、何を中心に考えていくのが正解なのかというのが、ものすごくアバウトで、決めにくいと思います。

技術だけ凄くても、デザインだけ凄くても、人が来ないサイトではダメですし、人が来るサイトは出来てもコンテンツが無いサイトでは意味がないですし。

Web屋を目指す理由は、デザイナーもあれば、コーダーだったり、プログラマも居れば、それこそプランナーや、コンサルにいたるまで、様々なものがあると思います。しかし、実際にWEB屋になった時の葛藤は、相当なものだと断言できます。

『私はWEBデザイナーになりたかったのに・・・』と思いながら、日々FlashのActionScriptを書く日々が続いたり、なぜかバナー広告をひたすら作る日々が続いたり。

クライアントのみを見て制作してよい場合と、エンドユーザーのみみて制作してよい場合とでは、それこそ考え方も違いますし、仕入れるスキルも変わるはずです。

このことから、Web屋がカオスになる最大の理由は、クライアントと、エンドユーザーに板ばさみされる状態こそが、この状況を作り上げるきっかけになっているのではないでしょうか。

今のところ打開策は模索中ですが、もう少しWeb屋がやっている事が細分化され、周知されれば楽になるのではないかと思います・・・。


まずは信条を決めるのが吉かも


ものすごい細かいオプションが書かれた価格表を喜んでもらえるお客も居れば、ものすごくアバウトに30万パック!みたいなものが喜ばれるお客も居ます。

これからのWEB業界は、価格競争もどんどんされていきますし、サービスも技術もどんどんスキルアップしていかなければならないし、よりいっそう混沌としたものになっていくと言えます。

だからこそ、企業それぞれで、
『技術』 
『売り上げ』
『アクセス数』
『夢』
『時間』
『便利』
『楽しさ』

という、曖昧なところから、先に決めていくのが良い様に思いました。
ただし、この中から、2つを選ぶ必要があるかもしれません。1つだけでは非常に厳しいと言えます。

ひとまず1極強い部分が出来れば、それが1つの売りになるといえますので、ためしにWEB制作の心得というものをまだ作っていないのであれば、作ってみると良いかもしれません。

何かがかわるかもしれませんよ。

それでは、また。


@yamada_nt
Posted by@yamada_nt
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Comments 10

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ぽちん  

みんなカオス

こんにちは。映画や広告や放送などの業種でも状況は同じじゃないっすかねー。
というかほとんどの人が「エンドユーザーとクライアントに板挟み」になりながら「異常に多い商品群」と格闘しながら働いてるんじゃ?

2009/06/09 (Tue) 09:50

hikaru  

みんなカオス2

農業だって何だって、消費者がいる生産者やメーカーはみんなそうじゃ?

2009/06/09 (Tue) 15:10

平田睦  

板挟み

こんにちは。
同じような想いを以前に書いてたもんですからトラックバックさせていただきました。
クライアントの意向には沿いたいけど、「それっておかしくない?」ということも結構あって・・・。営業と現場の板挟みにも遭います。

2009/06/09 (Tue) 16:20

営業メンくずれ(ノД`)  

営業は更にもう一段階あるかもしれない

いつも拝見させていただいております。
とても勉強になり、もう目にはウロコが張り付いて前(将来)が見えなくなりそうです。

WEB屋---クライアント---エンドユーザー

もう本当にそうだと思います。
ただ、営業(くずれ)をしている私の場合、さらに段階があるように感じています。


製作スタフ---WEB屋(私)---クライアント---エンドユーザー

↑のようなスパイラルが起きている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

他の業種と違うのは、クライアントはWEB屋を魔法使いだと思っている割合が高い!というところだと思います。魔法使えたらWEB屋やってないけど。。。

2009/06/09 (Tue) 21:46

ノブ  

No title

こんにちわ。
いつもブログ拝見させていただいております。

詳しく解説されていて、とても参考になりました。

また訪問させていただきます。

2009/06/10 (Wed) 13:59

えど  

参考になります!

いつもブログ読ませていただいてます。
毎回深く観察されてるなーと関心してます。

確かに、ふたつのクライアントを相手にしていたら
それはカオスにもなるでしょうね・・;

なんていうか、中間管理職の板挟みみたいな?w
自分はクライアントを相手にする仕事は(今のところ)していませんが、今後そうなった場合、これを参考にさせていただきます(`・ω・´)ゞ

2009/06/10 (Wed) 18:26

元製作スタフ(休求職中)  

No title

おバカなエーギョーさんがお客様に「なんでもやりますよ~スタッフはたくさんいますから~」なんてホラをふいたシリを一人でふくのはコリゴリです。

ユーザーの視点やコスト感覚をキッチリ理論を立ててちゃんとサンプルを作って説明すると納得して意識を変えていただけるお客様もおられるので「説明能力・説得力」というのも売り物の1つだと思います。

2009/06/11 (Thu) 20:33

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2009/06/11 (Thu) 21:00

toksato  

No title

***すいません、間違えて非公開コメントにしてしまいました・・・再投稿します****
いつも楽しく拝見させていただいております。
特に、生業がデザイナーではないためデザインのセンスがない僕のような人間にはデザインTips系は凄く助かります・・・(笑)

さて、お題ですが、うーんという感じです。
僕は全く真逆の意識を持っているので。
(最近そんな内容のエントリを書いたのでTBさせていただきますね)

Web屋がカオスに陥りがちなのは
「二つのクライアントを見なければいけないから」
ではなく
「二つのクライアントを見なければいけないと思い込んでいるから」
だと思っています。

Webサイトに、ユーザに不要なものなど入れてはいけないというのが僕の基本的な概念ですし、全ては、1~10までユーザのニーズを下に設計、デザインをするべきだと思っています。なぜなら、それがWebサイトの使命だから。
というと、発注者を無視するような物言いになっていますが、そうじゃなくて提供する価値が違うと思っています。

「『Webサイト』はユーザに向けて作る」
「『Webサイトを創る事』はクライアントに向けて行う」

が、正しいと思っています。
『Webサイトを創る事』=『プロジェクトマネジメント』と置き換えていつも僕は語っていますが。

「Webサイトを何のために創るんですか?使うんですか?」
という問いに対して、仮に発注者が「自己満足が最優先事項」というのなら、話は変わるのですが(それならユーザなんか一切見なくていいですから)、それが信頼の確立=ブランディング、売り上げUP、ユーザリーチなどのいずれにせよ「ビジネス」である以上、ユーザ以外の根拠をWebサイトに盛り込むなんてのはまずもってありえないと思います。「ビジネス」は「ユーザ(お客様)」に向けてするのだから。

Webコンサルというのは恋愛モテコンサルと同じだと思うんです。
男の子が「モテないんです」「どうしたらモテるんでしょうか」という悩みを抱えてコンサルタントの門を叩く。コンサルタントが提供すべきことは「モテるようになるファッション」「モテるようになる行動」を具体的な手法で提供することです。そのときには、当然それまでの男の子ではダメなので、否定することもあるだろうし、要望を断ることもあるでしょう。男の子が思うようにやりたいなら、初めからそうすればいいし、そしてそれでダメだったから恋愛コンサルに来ているはずなのですから。

相談者を無視しろということではないです。
そもそも、相談者自身が納得しない限り幸せにはなれないのだから。でも、それと「手法に対して相談者の好みを取り入れる」というのはまた別の話だと思うのです。相談者の好みを聞くのであれば、好きなブランドやファッション、好きな行動という手法ではなく、トータルで見たときの

「どんな人間でありたいですか?」
「どんな長所を持った男性でありたいですか?」
そして何より「どんな女性にモテたいですか?」

を聞き出すべきだと思います。
そのヒアリングの結果と、相談者本人が持っているステータスから、最終的に目指すあるべき姿を導き出し、そしてそこにストレス無く、不安なく導く(=プロジェクトマネジメント)ことが恋愛コンサルのタスクじゃないでしょうか?その過程で、

「僕は週に5日は部屋にこもっていて1日だけ彼女に電話して、月に一回だけ彼女と部屋で会うだけの生活がいいんだ」「でも、丸の内OLのような人にモテたいんだ」

と言われたら、それを鵜呑みにするのではなく「その意識では丸の内OLは振り向いてくれない」ときちんと伝えるべきだと思うし、「常にガンダムを持っていたいんだ」という人に対しては、「あなたの求める人はガンヲタですか?」と問わなければいけない。なぜなら、恋愛コンサルは服やアクセサリ、流行のヘアスタイルを提供しているのではなく、それらの手法を駆使して「女性にモテること」を提供しているのですから。

Web屋だって同じだと思うのです。
Web屋はHTMLや美麗なFlashを提供しているんじゃない。
「HTMLやFlashによるユーザへの連続した満足体験の手法を提供すること」による「ユーザからモテること」=「ビジネスの成果」を提供すべきだと考えます。少なくとも、そうでないならばそれはただの絵描きだし、そしてWebサイトが何のためにあるかということを理解していないWeb屋だと思います。

ですから、ユーザとクライアントの二つを追わなきゃいけないということはないと思います。ユーザの幸福のためにWebサイトを創り、クライアントには「ユーザに幸福を与える手法」と「そこにたどり着くまでのナビゲート」を提供すべきだと思います。

Web屋が創る物は常にユーザに向いていなければいけない。
Web屋の仕事は常にクライアントに向いてなければいけない。

だと、僕は思っています。

2009/06/11 (Thu) 21:06

たわし  

見つめ直す

こんにちは。
いつも拝見させていただいております。

確かに板挟みによってカオスに陥りやすいですねぇ。
今後のためにも、いま一度見つめ直してみたいと思います。
ありがとうございます!

2009/06/23 (Tue) 15:30

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  • 以前、デザインについて書いた気がしますが・・・、ちょっと内容被るかもしんない。 デザインだけじゃない話なんですけど、「望んでるもの」について、ちょっと考えてみたいと思います。 ここでいう「望んでいるもの」は「クライアントが望んでいるもの」だったり、「ユ...

    2009.06.09 (Tue) 16:16 | Biz.netaxis