クリエイターに聞く「顧客と会わないウェブ制作には、何が求められるのか?」

私は今回、海外を中心にウェブ制作を行う日本人女性クリエイターの『Manaさん』に、顔を合わせないウェブ制作についてお話をお伺いしました。
冒頭から「顧客と会わない」というのもおかしな話かもしれないが、このインターネット普及時代には別段珍しい話でもないです。
私自身、実は会わないウェブ制作はしたことがなく、ほぼ全て顔を合わせる打ち合せを行ってきました。
このネタ帳ブログのお問い合わせからもなぜかご注文がありましたが、この2年間でブログから正式に受けた仕事は5件くらいかな?あとはすべてお断りさせていただきました。受け切れませんし。
ただ、受けたクライアントはすべて北海道内。会わない仕事はしない主義なもので。
そんなわけで、私は会わないウェブ制作の世界がわからない為、どんなものなのかという事に興味を抱いていました。
今回はたまたま、webクリエイターであるManaさんとお話しすることが出来たので、ばばーんと会わないウェブ制作について、聞いたものをまとめてみます。
ところでManaさんて誰

Webクリエイターボックス
デザインも定評があり、はてブのコメントでも地味に絶賛されている。本職はウェブクリエイター。海外を拠点に、ウェブサイト構築、デザイン等を行う仕事をしています。
以前はカナダ、バンクーバーで仕事をしていましたが、今後はバンクーバーのみならず、世界での仕事を行うそうです。
ここのところ、日本でのブログ活動も活発で、地味に多くのファンを抱えているブロガーでもある。Wordpress オリジナルテーマの作り方など、いろいろ参考になる記事も多いのです。
ポートフォリオウェブサイトがこちら
- Web Creator Mana ::: Online Design Portfolio
- Web Creator Mana ::: Online Design Portfolio(日本語)
About プロフィールページでは、非常にわかりやすい自己紹介がなされていますね。
一応今回のインタビューの冒頭にて、Mana氏からのコメントとして
ご質問についてですが、私もWeb業界で働きだしてそこまで年月がたっていないため、私自身常に勉強しながらお仕事をさせて頂いておりますので、100%正しいやり方ではないのかもしれませんが、少しでもお役にたてれば幸いです。
という返信を頂いています。
以降、実際に顔合わせをしないweb制作について、Mana氏流のやり方をご紹介していきますが、これらが正解であるというわけではありませんので、皆さんの中で受け止め、参考に出来る部分は参考にしていただければとお思います。
1)離れたクライアントと、どのように仕事を進めるのですか?
どのように仕事を進めるているのか、そのあたりのお話。
これはあるかもなぁと思いました。実際、依頼をうけて、ある程度完成する前に変更とかよくある話ですし・・・。離れた顧客との仕事のすすめ方について、必ず利用するオンラインツールがあります。
SkypeとBasecampです。
Skypeはご存知のとおりチャットや音声通話をするためのものですが、メールだけでは伝えきれない・誤解が生じやすいため実際に電話で、できれば顔を見ながらミーティングすることで離れていても意思の疎通がしやすくなります。
特に最新版に追加された機能では開いているスクリーンを直接見せながら通話できますので、容易に画面を見せながらプレゼンできます。
時差がある場合は時間を合わせるのが少し難しいのですが、クライアントの都合のいい日時にアポをとり、ミーティングをすすめます。また、ミーティングの時以外はSkypeでのメッセージを受け取らないことを、事前に伝えておきます。そうしないと少しの変更でもそのつどチャットがきて、他の作業に集中できなくなり、結果的にクライアントの為にならないからです。
これの日本版とかあるんでしょうかね・・・。Basecampは世界的に多くの人が使用しているプロジェクトマネジメントツールです。日本でこの手のツールがあるのかわかり兼ねますが。。
クライアントとの連絡はEメールではなくこちらのツールを利用します。プロジェクト単位で制作側・クライアント側のユーザーを追加することができ、ユーザーは要望・連絡・To-doリスト・ファイルのアップロードなど全て投稿・観覧可能です。クライアントを含め、プロジェクトにかかわる全ての人が進行状況を把握できるので大変便利です。
2)会わないからこそ大切なこととは?
会わない打ち合わせに関して、このあたりはきっちりしといたほうがいいというものはありますか?
また、話の中では、前金を頂かなかったクライアントに、完成とともにばっくれられそうになったこともあるとか。これは顔が見えないからというわけではありませんが、必ず契約時に全金額の半額を頂くようにしています。
日本ではあまりしないやり方かもしれませんが、海外では必ず行われます。顔が見えない分、契約内容の確認や金額に関するところもいつも以上にしっかり取り決めた方がいいかもしれません。
これに関しては、私も経験がありますが、どうも改善策が注文書を発行していただくという方法しか見当たりません。
最も気をつけていることは?
文章は結構難しいかもしれませんね。特に海外の方だと、体のリアクションも含めて会話を進めてきますので、より慎重に考える必要があるのかもしれません。メールの書き方です。
メールって簡単にメッセージを送れる分、少し書き方を変えるだけでふざけたように聞こえたり、キツイ言い方になったりすると思うんです。
実際に会えない分、メールひとつで誤解が生じたりするのを避けなければいけません。以前クライアントにコンテンツ内容を送信してもらうようお願いした時に「言い方がきつい、怒っているのか?」と言われたことがあります。私としては綺麗な敬語を使い、メールしたつもりだったのですが、かしこまりすぎたのかもしれませんね。。
会う、会わないの問題ではなく、いかに相手の希望を把握できるか
顔が見える・見えないでWeb制作の進め方自体はあまり変わらない気がします。違いはクライアントとのつながり方。「クライアントはどんな人なのか」「どう思っているのか」をオンライン上で把握しなければなりません。まずは自分を知ってもらうことから始まり、様々なツールを駆使し誤解のないように説明・質問します。
クライアントの要望を「わかったつもりでいる」のが一番危険ですね。
ちなみに一番難しかったのはFlashの動きの説明です。クライアントにFlashアニメーションの動きをメールで伝えて頂いたことがあるのですが、言葉では本当に分かりづらく、スカイプのビデオ通話で何度も確認しました。
3)使用しているツールやサービスなどはありますか?
* FreshBooks(英語)
請求書をオンラインで送信できるサイト。日本で言うZoho Invoiceですね。
* Basecamp(英語)
プロジェクトマネジメントサイト。
* Support Details(英語)
クライアントに私のメールアドレスを入力してもらうと、クライアントの使用しているOSの詳細が自動的に送信されます。
* Paypal
海外にもクライアントがいるので、料金を頂く際にフル活用します。
* ソーシャルネットワーキングサイト
Twitter、Facebookなど。日本だと Mixi?
クライアントがどんな人なのか非常にわかりづらい。逆にクライアントも私がどんな人なのかわかりません。なので最初に私のTwitterやFacebookなどを登録してもらい、私がどんな人物なのか知ってもらうようにします。変なことは書けませんね(笑)
私も彼らのTwitterやFacebookに登録します。
要はオンラインで手軽にクライアントとコンタクトをとれるツールですね。
4)参考にしているサイトはありますか?
* Wordpressテーマ一覧(英語)
無料で使えるWordpressテーマの一覧ページです。極端に予算の少ないクライアントにはこちらを見て頂き、気に入ったレイアウトを少しカスタマイズ(画像を変えるなど)をして低予算でできるデザインを提案します。
* Best Web Gallery(英語)
世界中にある素敵なデザインのサイト集
* モバイルデザインアーカイブ
日本の携帯サイトを制作する際に参考にさせて頂きました。(携帯持っていないので。。)
その他フリーランスで活躍している人のブログも参考にしています。
5)まとめると
感じた内容としては、
顔を合わせなくても、可能な限り顔を合わせている状態にする為にスカイプや、webサービスを活用する。
たとえ顔合わせしなくても、相手の言いたい事をしっかり理解する為には、メールだけでは足りないという事ですね。
逆に自分がどんな人間なのかを知ってもらう為に、様々なソーシャルサービスを活用する。
ソーシャルサービスそのものに対する考え方も変わるかもしれませんね。変な事は書けませんし。
もっとも大事な事は『クライアントが望むものをきっちり把握しきること。』
という、まぁ当たり前のことが、やっぱり一番大事なんだなぁと。
ここをしっかりとクリアする為に、様々なツールを使っているというわけですね。
勉強になりました。
あと、ロゴくださいといったらいっぱいくれたのですが、結局使いどころが無かったのでここに・・・

Manaさんといくつかメールのやり取りをして感じた事なのですが、1の質問に対して7つくらいの返答が帰ってきました。あぁ、この人さすがだなぁと思った次第でございます。
私も少し、メールに対してもう少しまじめに取り組んでみようと思った今日この頃です。
それでは、また。