デザイナーは自分の欠点に目をつぶると、かえって長所が伸び悩む
2007年03月27日 公開

WEBデザイナーにしても、イラストデザイナーにしても、創作、工夫という面では同じです。
2年前、私がちょっとした不注意で交通事故にあい、3ヶ月入院しているときに、イラストレーターで印刷物を作るプロのデザイナーさんにお会いしたときの事です。
私は今でも彼の話が忘れられないのが『デザイナーの欠点』についてのお話でした。
このお話は、作品展を開くようなデザインーとはちょっと違います。あくまでもクライアントからの発注を受けるデザイナーのお話です。
デザイナーの欠点とはそもそもなんなのか
欠点といっても私にはピンと来ない。
一体欠点とはなんなのかを聞いてみたところ、彼の話は実に興味深いものでした。
『デザイナーは欠点を知る機会が少ない事が欠点』
主に、デザイナーと呼ばれる人たちの話を聞くと、一つの作品に対して、大規模でない限り一人で作り上げます。
そして、プロデザイナーが作ったものは特に、プロが作ったんだから大丈夫という目に見えない価値とプレッシャーがあります。
そして、デザイナーの多くは、多少自信過剰でなくては勤まらないと言います
そうでなければ、自分のデザインを自信を持って世に放てないからです。
実際にデザイナーが描いたものの多くはクライアントに納品され、クライアントに評価されます。
ところが、難しいのはダメだしされるのはクライアントですが、デザイナーが聞くことが難しいのはエンドユーザーの声です。
最終的にそのデザインが良かったかどうかというのは、表面的にクライアントが決める事になりますが、実際はクライアントが決めるものではなく、そのクライアントがチラシなり、ホームページなりを公開したときに見るエンドユーザーなんです。
このとき始めてデザイナーの力が発揮されるといっても過言ではありません。
そして、そんなエンドユーザーから聞けるのは、ホントにわずかなチャンスであり、ほとんど聞くことが出来ないのが現状だと語られていました。
つまり、欠点を見つけることが難しいという事になります
デザイナーの性分である自信が、このときかえって自分の成長にブレーキをかけます。
ではどうやって欠点を見つけているのかを聞いてみました。
彼の欠点を見つける方法は、締め切りのあるデザイナーが出来る事だと言います。
デザインの多くには、締め切りがある
『一つのデザインを作り上げるときに、デザイナーにとって重要な事は最初に決めた事からなるべく脱線しない事が大事だと思うんだよね』といわれました。
『実際にデザインは日に日に色々な情報から吸収されるわけで、あれもいい、これもいいでは、いい作品にはならない。又、ほとんどが締め切りのあるものが多いため、そういったことに時間を消費すると、最終的に追い詰められて良い作品が出来ない。』
なるほど、と思いました。
私もホームページを創る過程で、例えば3ヶ月の規模ホームページを受けた場合の事を思い出した。
3ヶ月もあれば、PHPにしても、フォトショップやイラストレータにしても、全く違う技術を身に付けています。
それを、身に付けたからといって3ヶ月前に計画を立てたものと変えてしまうと、より多くの時間を消費してしまいます。
最終的にあせって仕上げ、納品というケースもありました。
結果的には3ヶ月前の技術と今の技術が混合してしまい、やはりのちのち修正をかけていくと言う結果になる事もあります。
3ヶ月前の自分を貫き通したときに始めて欠点が自覚できる
そうなんです。
彼が言うには、作品を手がける前に決めたとおり作品を完成させる事で、今の自分と前の自分をはっきりと見ることが出来るという事が大事だと言うのです。
確かにクライアントの要望にこたえるため、様々な修正を加えますし、出来上がっていく過程で、思い描いていたイメージが実は酷かったという時にはもちろん修正します。
それでも、以前の自分のデザイン力と比べる事で、自分の欠点を一つ一つ理解し、認めていくことができ、なおかつ次の作品への創作意欲と、新しいものへの挑戦が可能になる。
彼の自論はそんなところです。
大事なのは欠点が見える事で、自分の長所を伸ばしやすいということ
一つの作品を手がけたときに、次の作品はこうしていこうとか、もう少し新しい技術を使っていこうとか、様々な次の一手が見えてきます。
『これの繰り返しを行っていくことで、自分自身を成長させていく事ができるんだよ』
本当にためになるお話でした。
私の場合はまだまだ未熟な部分が多いため、ホームページをイメージどおり作っても、やはり酷くなってしまう事が多々あります。
修正する事も多いですが、彼から聞いたこの方法を実践する事で、確かに自分に欠けていたものをはっきりと理解する事が出来ましたし、それを補う技術を身に付けたり、出来なかったものを、もっと出来るようにしたりと、色々な解決方法が見つかりました。
デザインとは本当に奥がふかいですね。