ブログで商品の需要を作る方法
2011年03月02日 公開

企業ブロガーからの相談案件をご紹介。
「現在web制作をしてくれた人からブログのアドバイスを受けて書いているのですが、製品等のリリース時に、製品の紹介を細かくしてくださいと言われて書き続けています。しかし、8ヶ月立った現在でもあまりブログからの手ごたえが無く、本当にこのままでよいのかYamadaさんにご相談したかったのですがいかがでしょうか」
というものがありました。
どうでしょうか。確かに製品紹介は必要不可欠かもしれませんが、ぶっちゃけ製品の紹介は本体のwebサイトで紹介するのが当たり前であり、それをリリースした時にまた製品の紹介をすると言うのもへんな話のように感じました。
この場合どうすれば良いでしょうか。
シチュエーションを説得する方法に切り替える
さて、先ほどの相談者は、お花を販売するサービスを行っています。
これまで、お花を販売する為に記事を書いていました
宣伝です。何日に何が入荷します。入荷しましたといった、お花の商品に関するお話が中心となってしまっていました。また、コンサルティングからのアドバイスでPVを稼ぐ為に、何かの対象や物事に対して反対意見を書いてみたりしてました。
とりあえず私に相談してきたと言うことは、本人はその方法に疑問を抱いていると言えます。
つまり、ブログを全く楽しめておらず、それはユーザーにも勿論伝わります。ブログを楽しむというのは、マニュアル通りするものではなく、真剣に書いて、真剣に物事を伝え、それに対してフィードバックがあった時に感じるものです。
この例で言うとフィードバックはユーザーからの声援や、購入に結びつけることです。
今回はセオリーとも言えるスタンダードな方法を提案してみることにしました。
これはその場その場の誰もがわかりやすいイメージであるシチュエーションに対して、商品の付加をつけていく方法です。
例にします。
1)○○の花について
この花は春に花をだします。とても鮮やかな色合いで、3~4日に一度水をあげるだけで育つ、育て安いお花となっています。花言葉は○○です。
2)恋人と過ごす時にあると素敵なお花
春に恋人と会うときは○○のお花。冬なら○○と言ったお花がお勧めです。
色鮮やかな花が持つ雰囲気はとても独特で、その場の空気を変えてくれるかも知れません。花言葉は○○で、お話のネタにも使えるお花です。
1はお花の宣伝です。基本的にお花の育て方や育てやすさ、特徴は、販売サイトの方に記載されているものです。
2の方はシチュエーションを説得しようとしています。
つまり、こういう場合は、こういうお花が合うよという説得を試みているのです。もしこの説得にユーザーが応じたり、納得してくれたとすると、ブログに対して強い印象を持ちます。
「恋人と過ごす時に良いのか」という記憶は、購入に結びつやすくもなります。
もちろんやりすぎれば、お客様が本来持っている花に対するイメージを壊したり、狭めたりする事もありますので、自身が感じるありのままを説明して説得する事が重要だったりします。
実際に店舗でお客様と接するときはすらすら出てくる言葉でも、いざ文章などあまり書いた事がない人がブログに対面した時に、真っ先に感じることが「何を書いたら言いかわからない」というものです。
その結果、製品の紹介や宣伝ばかりになったり、有でも無でもない、どうでもいい挨拶記事が生まれます。題材を作る為にはまず、ご自身が花に抱く正直な感想を書くことが重要であると伝えました。
少し卑怯な言い方になるかもしれませんが、色が鮮やかだから恋人と過ごす時に雰囲気が良くなるというものが、世間一般ではまだ誰も知らないことであったり、そんな常識がそもそもなくてもかまわないのです。
その人が花から感じるイメージや想いを人に伝えればいいのです。
ブログの文章はタイトルをプレゼンする事
ブログの中身には様々な記事で構成されています。ニュースや技術系のマニュアル、素材などを除き、自身の思いを伝える手段としても有効に活用できるツールです。
文章を生み出す為に必要な事は、ブログの記事のタイトルをいかにして最後に納得してもらうかを考える事です。相手に対して納得してもらえるような内容を書くと、色々な言葉を使う必要が出てきますし、時には数字やデータが必要な場合もあるでしょう。
同時に、記事に面白さや、真剣さ、想いなどが乗るようになります。これらの気持ちが乗る事で、逆に「それは違う」という意見も発生します。
人には様々な考えがありますので、これらはごく自然の流れです。
反対意見が多い場合は、自分の考えが間違いかもしれないと、フィードバック後に改めに考え直すことが出来ます。賛成意見が多い場合は、自分の考えは正しかったと考える事も出来ます。
ただし、想いや主張の無い記事には、そのどちらの意見もつきにくいです。
つまり、記事の内容がただの製品紹介だった場合、最初から製品に興味が無いユーザーにとっては、不必要な情報と言う事になります。読者が興味のあるものから、自然に言いたい事をプレゼンしていく。主張を最終的に説得していく事。これが重要です。
こういう時にこれを使って欲しい!という想いをプレゼンする事が記事に面白さを生み出すのです。
実はシチュエーションでの説得が商品の需要につながる
ブログは需要のプレゼンそのものです。
例えば、あまり題材に興味の無かった人が、その説得に応じて、応援してくれることもあります。
どのように相手に伝え、相手にわかってもらえるのかを考える事が、強い主張を生み出し、説得の場を作ります。
知らず知らずのうちに、多くの人はブロガー達から、多くの説得をされているのです。
情報を説得する事というのは、世の中を見渡せばそこらじゅうに存在します。バレンタインにチョコを送る事は、様々な説がありますが、森永製菓が1960年より「愛する人にチョコレートを贈りましょう」と新聞広告を出し、さらに伊勢丹が1965年にバレンタインデーのフェアを開催し、これがバレンタインデー普及の契機となったというお話があります。
ポッキーの日を生み出した江崎グリコや、クリスマスにチキンという流れを作り出したケンタッキー等、物を直接的に売るというよりも、そこに存在していない需要を作ったと言うことです。
これらを説得する場として使えるのがブログであり、製品を直接的に宣伝しなくても、購入に結びつけることが可能なのです。
商品の魅力はそれを取り巻くストーリーにある
例えば「ある商品によって、大きく人生が変わった!」という人が二人いたとします。
片方は商品の良さを猛烈にアピールし、もう片方は、その商品に出会う前の話、出会ってからの話、そしてその時にどう感じたかを書いたとします。
多くのユーザーがどちらの話に興味を持つかと言うと、後者です。
どういうケースでどういう風に変わったのかと言うのは非常に興味深く面白いのです。プレゼンテーションの肝は、こうしたストーリーをしっかり伝え切る事です。
「商材」とは、いかに優れた機能をもっていても、いかに人が満足できる製品であっても、購入する前にユーザーが、具体的にどれだけわくわく出来るかにかかっています。
難しい事を考える必要はあまりありません。
そういう場面にこれを使うと良いですよと言う事をプレゼンしていくだけなのです。
プレゼンが成功する事=購入にはつながらないかもしれません。
しかし、納得したユーザーは、別の記事も楽しんでくれるようになります。このシチュエーションのプレゼンテーションの優れた点は、宣伝ではないことです。
製品のリリース情報だけでは人はきません。このプレゼン方法によってお花に興味がなかった人が購入につながることが増えましたし、事実売り上げはあがりました。
ブログによって「商品」の直接的な宣伝をするのではなく、「需要」を作る事が出来れば、それが成功につながるのです。
頭の切り替えるポイントは以下
- 商品の宣伝は控えめに
- 商品の説得をするのではない
- シチュエーションごとにそっと商品の価値を提案する
- プレゼンテーションは真剣に行う
- ブロガーは営業ではなく人であると考える
ネットだからと言って商品にスポットを当てる企業は多いです。
考え方が「企業→ユーザー」というメディアだと考えているところが多いからです。そうではなくて「ユーザーとユーザー」になる努力。人として接してもらえる努力が大切なのかなと感じています。
それでは、また。
※記事修正:シュチエーションをシチュエーションに変更。お恥ずかしい。