インターネットと聞くとすぐに広告媒体と考えるから失敗するんだよ

多くのWeb屋がぶち当たるであろう関門の一つに、クライアントからの無茶振りがあります。
「いや、それはちょっと・・・」
と、心の中では思っているのに、まぁそれも仕事の一つで制作する事になるでしょう。
もしくは、そんなのは絶対やめたほうが良いですといって跳ね除ける人もいるでしょう。
そんなクライアントとの大きな溝は、インターネットそのものを広告と考えているからかもしれません。
インターネットとは人そのものである
単純な答えですが、こうやって考えるようにスイッチすると意外と多くの知恵が湧き出てきます。
実際にこの考えは抽象的なもので、科学的ではないし、具体的でもない。
曖昧ではあるが、あなたがインターネットに接続する行為その物が、人間らしい欲求によるものだという事。
2ちゃんねるに書き込むのも、メールをするのも、Webサイトから情報をみるのも、ブログを書いて情報を発信するのも、まず始めに何らかの理由、欲求があって初めてそれぞれが交じり合う事になります。
結局、あなたがどれだけWebサイトを作ったとしても、そこに人間を見る事が出来なければ、必ずと言って良いほど失敗するのです。これは人と関わることが重要というわけではない。自分自身がそういうものがあれば便利、欲しいという理由と欲求で作られる場合も多々ある。
代表的な失敗例を上げてみよう。
Web制作で、ちょっと前に流行ったFlashのトップページ。しかもスキップ出来ないFlashまでありましたが、これはどういう心理だったのだろうか。
クライアントはテレビCMのような素晴らしいツールを手に入れ、それを単に活用してPRしたいと考えただけなのです。頭の中には、当然インターネット=広告媒体という意識がしっかりと、そして鮮明にある為、こうした現象が少なくとも4~5年は続いていた。
しかし、Webサイトそのものを人として考えて見ると結構簡単に様々な問題が解決できたはずです。
例えばそれは「今までなんの経験も無く、これからWeb屋を始めようとする人」にも活用できる考え方じゃないかと思っている。
現実とネットをあまり切り分すぎると失敗する

頭の中で少しだけ想像して見て欲しい。
トップでスキップできないFlashムービーを見なければならないWebサイト。
道行く人に、あなたは会う人全てに、わずか数秒ですが企業のテレビCMを見せている状態だ。
道行く人は、企業自体に興味がない人がほとんどだ。そんなCMを最後まで立ち止まって見てくれる人はなかなかいない。ほとんどの人は、わずか数秒であなたをスルーして別のところへ行くだろう。
知らない企業の、特に自分に興味のない広告を見る理由などそもそも存在しないからだ。
そのうち、ようやくCMに興味を持った人がいてくれた。
その人にあなたはやっとコンテンツを見せるチャンスが来たのだ。が、肝心のWebサイトの内容が、会社概要しかない為、その人には名刺だけを見せて帰っていただくこととなった。もちろん渡したわけではない。
その人は少しだけ気になったものがあったので、あなたの元にもう一度だけきてくれた。これは奇跡的な事だが、そういう事もある。しかし、そんな素晴らしいチャンスの時にも関わらず、あなたはまた同じ企業のテレビCMを見せて、お客はうんざりして帰ってしまった。
例えばあなたがこの会社の社長だったら、社員がこんな事をして許すのだろうか。インターネットだとなぜか許してしまっているケースが多々あるんですよね。
もしもあなたが社長で、ネットではなく、現実として置き変えるなら、2回目に来た人は少なくとも『会社概要のWebサイト』を訪れてくれたのだから、お問い合わせを一番に案内するのが普通だろう!と怒るんじゃないだろうか。
こうやって考えると、トップにどーんと大きくお問い合わせ(フォーム、電話番号)がある事がいかに正しいかって言うのは直ぐに考え付くはずです。そもそも、道行く多くの人ににスルーされるような、広告を見せて歩くような行為も疑ってかかるようになるかもしれない。
人の事を考えていないというのは、多くの人にスルーされ、時には嫌われる可能性もあります。
これはネットで起こっている事ではなくて、現実に起こっている事なのです。ただあなたが見えていないだけであって、そのWebサイトを嫌いになった人がいたとしたら、それは現実の世界でも嫌われている、ということになるのです。
あらゆる理由を知る事で様々なものが見えてくる
ユーザーが望むものが全て、という話ではない。
時には斬新なデザインと機能で人を魅了するWebサイトというのは沢山ある。ユニクロのたまに出すキャンペーンページもそうだし、最近だと調整豆乳も、見る人がみれば見る理由が存在するFlashページは多々ある。

(注意:音出る)日本テトラパック
この調整豆乳も、製品について口コミで聞いたのではなく、Twitterで「あまりにもコンセプトがわからない」というツイートを発見して気になって見てしまった。
あなたがもしも、このFlashページを見てしまったなら、それは「たまたまブログで紹介されていたから」ということになるだろう。
つまり、人々の多くは「それを見る理由」がきちんとあれば、見ようとしてくれるのです。
これはWebマーケティング以前の入り口の話なので、あまり深いところまで解説はしませんが、例えば商品を知ってほしいからと言って、商品をアピールするだけで簡単に知ってもらうことは出来ません。
その商品を知らないユーザーには、知らない理由がちゃんとあります。
検索できない、聞いた事が無い、見た事がない等です。
知ってもらう方法は様々あります。
既に知っている事とと抱き合わせる
AKBに商品を持ってもらう。
知っている生活と抱き合わせる
テレビを見ながら運動できる。
見ているWebサイトにその広告が出てきた
宣伝する。
知り合いが紹介してくれた
口コミ。
等など。
もしもマーケティングについて詳しく知りたいなら昔マーケティングについて書いた記事があるので、そちらでごらんあれ。
これからのブログマーケティング戦略
ブログで商品の需要を作る方法
webサイトの裏側の意識を変える事で売り上げをアップする方法
単に発信だけがしたいという広告的な見方ではなく、どういう人に届けたいのかというのを明確に持つ事で、どんな抱き合わせが良いのかとか、どんな口コミが期待できるのかといった様々な情報を推測することが出来るようになります。
人間的欲求をもっと知る事で、いくらでもその知恵が生まれてくるようになります。
ここまでみて、ほとんどの人は、何を当たり前の事を・・・人を見るのが当たり前だと思ったかもしれません。
冒頭で触れた部分で、クライアントからの無茶な要望も、人間的欲求があります。
それは広告媒体として直視してしまっている部分からくる欲求なので、まずはそこから変えていけるようアプローチして見ましょう。
それはやめたほうが良いですとただ言っただけでは、中々納得してくれない人も多いです。小難しいデータを参照して、こういう結果が出てるのでやめたほうが良いですと言っても、納得しない人も多いでしょう。
相手がどういう人なのか、どういう情報と抱き合わせれば分かりやすいのか、どういう口コミなら効果的なのかと考え始める事で、初めて突破口が開けるのです。
インターネットも人間であると同時に、目の前にいるクライアントも人間だと言うことですね。
それでは、また。