そろそろ同人誌二次創作物の著作権について一言いっておくか
こういうのが定期的に沸いてくるからどうしょうもない。
事の流れはLINDA Projectが「NARUTO」のエロ同人誌である二次創作物を作成した。
これを「同人探」というブログが勝手に無料配布した事がはじまりだ。これを期にLINDA Projectが、勝手に配布するなというメールを再三にわたり送信。それをうけた同人探も、あなたには著作権がないでしょう馬鹿じゃないのという姿勢。
さて、これはいったいどっちが勝てますか?っていうお話。
残念ながら私のブログから直接的にエロ同人誌を無料配布する「同人探」にリンクを張ることが出来ないのでご自身でぐぐって欲しい。ただし引用の為、Web魚拓を利用する事にします。
二次創作物も保護の対象にはなる
LINDA ProjectのLINDA様、『NARUTO』はあなたの著作物ではありません。- 同人探(Web魚拓)
追記:調べていくと二次創作物は二次的著作物という用語を用いられることが分かりました。
著作権法の二次的著作物とは、著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいいます。
二次的著作物における著作権の侵害とはどのようなケースとなるか。実はかなりシンプルです。
どのような形でも、著作権を保持する原作者が「親告」し、裁判によって「アウト」となれば、それが著作権法違反ということになります。
もちろんですが裁判によって「セーフ」となる場合もあります。「親告」はしたが、実際に見比べて見ると全然違うと判断された場合です。つまり二次的著作物は、裁判によってアウトとなるまで著作権上アウトにならないため、非常に面倒な物であると昔から言われてます。
ただ、殆どの場合は、原作者から注意された時点で、二次的著作物を作成した人が駄々をこねる事はありません。
が、これは我々の作成した作品です!と堂々としていて、かつ、裁判によってまだアウトとなって居ない限り、今回の二次的著作物であるエロ漫画NARUTOの著作権は現段階でLINDA Projectにあります。
また、それだけではありません。
既存の著作物に創作性を加えて作成されたものは、原著作物とはまた別の著作物として著作権法による保護対象となります。
http://www.chitekizaisan.jp/cat109/cat127/post-65.html
今回の「同人探」に関して言えば、この同人NARUTOは、原作のNARUTOの二次的創作物であると判断しています。つまりそれを分かった上で無料配布しているわけです。しかし、法律的な問題で言えば、分かっているほうが悪質と判断されます。
二次的著作物を利用するには、二次的著作物の著作者の許諾と原著作物の著作者の許諾が必要になります。
つまり、まぁありえませんけど、仮に原著作物の著作者の許諾を得たとしても、同人NARUTOを出版しているLINDA Projectの許可無くして無料配布する事は、複製権と公衆送信権の侵害にばっちりとはまっていると言うことになります。
先ほど書いたとおり著作権侵害は親告罪となるため、今回のケースである多くの同人誌に関しては黙認されている場合が非常に多いです。これは、本来の作品自体を知らない人にも、知ってもらう(流布)という利害関係が生まれる事もあるからです。その黙認されているは、許可ではありませんので、過剰なまでに著作権を侵害するような漫画はまずアウトとなりますが、アウトが確定していない限り、その作品を自由に無料配布する権利は、残念ながら「同人探」には無いと言うことになります。
もっと簡単に言うと
ナルトの漫画を、無許可で盗んでいる「LINDA Project」は、原作者に訴えられるリスクを常に背負っています。その「LINDA Project」の漫画を、無許可で無料配布している「同人探」はLINDA Projectに訴えられるリスクを常に背負って居ます。
つまり、人から盗んだものだから、盗んでも良いと言うことにはならないってことですねー。
だからLINDA Projectが著作権を行使して同人探を訴える→訴えている最中にLINDA Projectが原作から訴えられて作品全て回収→著作権が無くなるので何を訴えているかわからなくなる。
という流れが今まで無いので、どんな事になるのか少し気になるところではありますね。
あと今回の騒動でLINDA Projectからのメールを許可なく記事にしちゃってますけど。判例でいうと手紙を許可なく公開して有罪判決ってありましたよねぇ。大丈夫ですかね。
http://megalodon.jp/2011-1025-0026-04/doujintan.com/archives/6258176.html
参考記事
- 二次創作物 - Wikipedia
- 同人誌 - Wikipedia
- 二次創作物に著作権は発生するのか? - Yahoo!知恵袋
- 弁護士がやさしく解説・知的財産(二次的著作物等)
- 弁護士がやさしく解説・知的財産(複製権侵害等)
皆さんもお気おつけて。特に、pixivあたりのユーザーさん。勝手に画像持ち出す人は、リスクを背負っているっていう意識が大事ですね。原著作者から(二次創作物であっても)なにか言われたら速やかに対処する準備をお忘れなく。
あと、おまけでいうと
ブログでの書評やコピペもこれと同じく「利害関係による黙認」です。
引用であれば接触することはありませんが、明らかに本の内容をこぼしすぎてしまっているブログや、完全に内容を無許可で転載しているのもちらほら。
引用とは、著作物の利用形態の一つであり、著作権法第三十二条で定義されています。引用においては、著作権利者の許諾がなくても著作物を利用することができます。→引用の要件
こちらもコピペしているブログ(A)だからといっても、それを第三者のブログ(B)でコピペすると、コピペしているブログ(A)にやめてと言う権利はある、という事になります。
それでは、また。
修正
「が、これは我々の作成した作品です!と中国のように堂々としていて」
↓
「が、これは我々の作成した作品です!と堂々としていて」
iPadは我々が先に作りました、という内容のドキュメントをみた影響で軽く書いてしまいましたが、それをひとくくりとして中国と呼ぶ事は間違っていると感じ、修正させていただきました。申し訳ありません。