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今知っておくべき裁断本転売とスキャン代行問題

裁断機
手短に済ませたい。

何が正しくて、何が違法で、という話題に触れるほどの資格はないので、今起こっている問題点をまとめてみました。

専門用語


こういう話になるとほとんどの記事が当たり前のように使っている言葉があります。そのあたりの基礎です。

裁断本
買ってきた書籍、漫画などの本のつなぎ目の部分を裁断し(切り落とし)ページをバラバラにしてしまった状態の本。これは、バラバラにすることで、スキャナーにかけやすくなり、本を電子書籍化させる目的で行われます。
裁断本
※画像はうちにあった本をサンプル利用してますが裁断とかしてません。


スキャン代行
紙媒体である本を、電子媒体に変えたいというユーザーが多くいます。自宅に裁断機を買って本を裁断し、さらに自宅のスキャナーで読み込み、電子化するといった作業を、代行して行なってくれるサービス。それが裁断スキャン代行です。


自炊
メディアでも当たり前のように使われるようになってきましたが、最初なにいってんだろうと思ってたキーワード。要するに、上で紹介した裁断作業、スキャン作業を経て、本を電子媒体に自分で変える作業の総称です。

誠 Biz.ID:電子書籍「自炊」完全マニュアル:動画と写真で確認する――裁断&スキャンのコツ(裁断編)


裁断本転売サービス
現行の法律では「本を買ってくる→その本を売る」というのは全くの合法です。そのため、「本を買う→私的利用目的のため自炊して複製する→裁断された本を売る」というのももちろんセーフです。つまり裁断された本を最初から欲しがっている人のニーズを捉えたサービスにもなっているのです。
http://gigazine.net/news/20100830_saidanbon/


スキャン代行が違法か適応かでもめている


2011年12月20日、自炊は代行業者が行うのは違法として作家の東野圭吾さんら7人が、スキャン代行業者2社に対しスキャンの差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こした。

どちらかと言えばユーザーの声は、「なぜ?」という声のほうが多いというのが今回話題となっている理由でもある。
福井健策弁護士ロングインタビュー:「スキャン代行」はなぜいけない? (1/3)
こちらの記事では、かなり細かい点に触れられているので本当に興味がある人は一読をお勧めしたい。

もしも、「スキャン代行が問題ない」と判断された場合、次のようなサービスが登場すると懸念されています。

スキャン代行が問題ないとなるとどうなるのか


「スキャン代行サービス」と「裁断本転売サービス」を一つにしたサービスがどんどん誕生してくるだろうというのです。
以下は先程の福井健策弁護士の記事の一部を要約したものです。

例えばあなたが日曜日の昼下がりに、なにか本が読みたいなと考えました。

あなたは裁断本転売サービスのWebサイトを見ています。

気に入った本がありました。すでに裁断されているしそれを買えば、あなたは自宅でスキャンし、電子書籍化し、お気に入りのiPadでいつでも好きた時に読むことができます。

さて、そのサービスはなんと「スキャン代行」もしてくれます。素晴らしい。

そこであなたはその本を購入後、同時にスキャン代行サービスも依頼しました。あなたの手元には、スキャンされた電子媒体が届けられます。こうして中古の裁断本代と、スキャン代行代を支払い、あなたは安く本を購入したことになります。

さらに、今購入した裁断本は、中古として買い取ってくれます。
購入したばかりの裁断本をあなたはここにほぼ間違いなく販売するでしょう。

おわかりいただけただろうか。

裁断された本に関しては、一度も手元に届いていません。クリックだけで購入し、クリックだけで販売が完了します。つまり数クリックで権利だけが動いた事になります。

この一連の流れを見ればわかりますが、本の著作者には、一切お金が流れないことになります。
にも関わらず、あなたは「電子書籍」を手にしてしまいました。まぁ、はなから電子書籍を求める人に提供できていればいいのですが、まだそうはなっていません。

今回、弁護団は損害賠償を求めているわけではなく「違法行為であることを裁判所に認めてもらうのが目的」としている。もしもスキャン代行サービスがこのまま違法ではないとなると、「現行法のままでは」よくわからない電子書籍市場が完成してしまうよっていうのが最大のポイントです。

電子化については今後も「現行法」では対応し切れないような様々な問題が発生してくるかと思います。どうなっていくのか、注目が集まっている問題ですね。

それでは、また。
@yamada_nt
Posted by@yamada_nt
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Comments 1

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しめすへん  

No title

自炊後に裁断済み本の転売を認めると複製の所有権が一冊の本から何度も発生することになります。オリジナルを手放した段階d3私的複製の所有権も失われると考えないといけないのでは?

2011/12/25 (Sun) 22:08

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